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サザエを真珠色に輝かそう

  • サザエを真珠色に輝かそう

材料

サザエやアワビの殻,トイレ用酸性洗浄剤(サンポール),塩素系漂白剤(ハイター),ビーカー,歯ブラシ,割り箸,ビニル手袋,安全メガネ

内容

・サザエの殻に隠された真珠光沢を取り出す。 ・サザエの殻を酸で溶かし,歯ブラシで擦ることを繰り返す。 ・表面が,きれいな真珠色をした貝殻になる。

詳細

 ゴツゴツしていて緑黒っぽいサザエの殻は,美しさとは縁がありません。また,つぼ焼きなどで美味を味わった後は捨てられてしまいます。しかし,その殻の内側には,ため息が出るように美しい真珠光沢が隠されているのです。ただ,殻の主成分は炭酸カルシウムなので,ヤスリで削っても白い粉が出るだけです。物理で攻めてもダメなので,化学で攻めてみましょう。

 ただ,酸性とアルカリ性の溶液を使用するので,混ざると塩素が発生して危険です。子どもだけで実験することは止めましょう。また,安全メガネやゴム手袋などを装着し,換気をよくして実験してください。

 サザエの殻を漂白剤(ハイター)に浸けて,数時間から一晩漂白します。取りやすくなったフジツボなどの付着物をドライバーの先で落として下準備完了。全体的に付着物で覆われているときは,ワイヤーブラシで粗方除去しておきます。 ビーカーに入れた殻に酸性洗浄剤(サンポール)をジョボジョボとかけていくと,ドンドン泡が出てきます。殻を作っている炭酸カルシウムが主成分の塩酸で溶かされ,二酸化炭素が発生するからです。しばらくすると,泡の出方が弱まります。殻が溶けると,もう1つの主な含有物であるコンキオリンというタンパク質が顔を出し,反応を邪魔するからです。歯ブラシでそのヌルヌルを洗い落とし,溶かし続けます。殻の全面に均一に真珠光沢を出させることは難しいので,どこで溶解を止めるかがポイントです。長く溶かし続けると,殻に穴が開いてしまいます。ですから,溶け残りが真珠光沢を隠す部分があるのは仕方ないことです。一晩水につけて酸などを完全に除去します。乾燥させた後、クリアスプレーを塗布して光沢を増せば,より美しく輝く貝殻になります。 

 炭酸カルシウムの溶け残りが多い場合,筆に含ませた4Nほどの塩酸で気長に溶かすと,よりきれいな仕上がりになります。また,最後に漂白剤で処理をすると,美白パールサザエになります。

 すべての面を真珠光沢にすることは,その層が薄いサザエでは難しいことがわかります。もう少しもう少しと欲張ったがために,いくつか穴を開けてしまいました。残念無念! 高価な商品になる夜光貝は,真珠光沢層が比較的厚いそうです。でも,白い粉だらけになる,石灰質層をグラインダーで削る作業が大変です。

 アワビの殻でも同じように真珠光沢を取り出すことができます。仕上がりとしては,アワビの方が美しいかもしれません。サザエやアワビの殻の中に,このような美しい色が隠されていたとは。まさに自然の驚異といえるのではないでしょうか。 関連実験(あわせて、こちらもどうぞ) ヤドカリの引っ越しを見よう 微小貝を見つけよう

基本情報

分野 分野2 育てたいもの 管理番号 季節 場所 難易度 危険度
化学 光,化学反応 探究心 781
夏
室内;
室内
普通
少し危険
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