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葉が必要とする光の色は何色か調べよう。

  • 葉が必要とする光の色は何色か調べよう。

材料

抹茶,アセトン(100円ショップのネイルリムーバー),高輝度LED(白・赤・青・緑色),ダブルクリップ,プラ板,ボタン電池,サンプル瓶,ろ紙

内容

・葉が必要とする光を調べる。
・抹茶をアセトンで溶かしてクロロフィルを抽出し,光を当てて観察する。
・赤い蛍光が観察される赤色と青色の光が取り込まれたと考えることができる。

詳細

 No.640「光の反射(色の秘密)を探ろう」で「葉にとって緑の光は必要ない・・・」と明記しましたが,子どもにはなかなか納得できないでしょう。「葉緑体」が緑色をしていることまで知っている子どもは特にそうだと思います。そこで,緑色植物が主に赤や青の光を取り込んでいることを実験的に観察させてみましょう。

 緑色植物が自ら養分を得るために光合成をしていることを6年生で学びます。光合成には葉緑体が必要で,その中に緑色の色素(クロロフィル)が含まれています。細胞はほぼ透明で,光合成に必要な赤色や青色の光はクロロフィルに吸収され,吸収されない残りの光が反射・透過して放出されます。私たちはこの色を見ているので,葉は緑色に見えます。 

 まず,No.45「光の万華鏡」で,光は「赤・橙・黄・緑・青・藍・紫」に分かれて見えることを経験させておきます。薬さじの小さじ1杯分の抹茶を100円ショップのアセトン100mlに溶かし,その液をろ過してクロロフィル抽出液とします。結果を見て適宜アセトンを加え,さらに薄めます。濃いと,後に述べる赤い蛍光がよく見えないからです。小瓶に希釈抽出液を入れ,自作の白色LEDライトで照らします。暗幕を引いて暗くすると,液の光が当たっている部分が赤色(赤い蛍光)に光る様子がよく見えます。赤色や青色LEDで照らしても赤い蛍光が観察できますが,緑色LEDでは蛍光がほとんど観察されません。

 光合成は,光化学反応(明反応)とカルビン回路(暗反応)によって行われます。光化学反応では,エネルギーを得たクロロフィルによって電子が励起状態になります。しかし,本来の光合成とは違ってこの実験では,励起した電子を受け渡す相手がいません。そのため,元の状態に戻る過程で,赤い蛍光を放ちながらエネルギーを放出するとされています。この赤い蛍光を見せることで,クロロフィルが赤色や青色のエネルギーを捕まえていて,緑色は捕まえずに外に出していることを実感させることができるのではないでしょうか。また,畑ではなく建物の中でレタスなどを水耕栽培している植物工場では,赤紫色の光を当てて育てている場合があります。少し不気味な色合いですが,その理由も理解できるでしょう。 関連実験(あわせて、こちらもどうぞ) 光の万華鏡 光(色の秘密)を探ろう 蓄光シートでかげをつかまえよう 冬芽を観察しよう1‐どんな顔が見つかるかな‐ ダンゴムシが好きな落ち葉を調べよう 燃えやすい葉と燃えにくい葉を見つけよう 落ち葉でベッドを作ろう

基本情報

分野 分野2 育てたいもの 管理番号 季節 場所 難易度 危険度
生物 光,植物 探究心 779 春夏
春夏
室内;
室内
普通
少し危険
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