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てこの原理を,畚担ぎ(もっこかつぎ)で体感しよう

  • てこの原理を,畚担ぎ(もっこかつぎ)で体感しよう

材料

自在箒の柄 2Lペットボトル 6mmナイロンロープ

内容

・『てこの原理』を『もっこ担ぎ』で体感する。
・箒の柄とペットボトルで組んだ実験モデルで『もっこ担ぎ』を体験する。
・『もっこ担ぎのプロ』の技は,最も効率の良い『仕事の知恵』だったことがわかる。

詳細

小学6年生で『てこ』の学習をする際,私は2つのテーマを掲げてきました。 1つは,生活に生かされている『てこの原理』です。『てこの原理』で,身近な道具が何倍の力を発揮しているかを,体感して数値化します。  もう1つは,震災時に倒壊した家屋等の下敷きになった『命』を救う術(すべ)としての『てこ」の効果的な使い方です。 阪神淡路大震災では,6434人の尊い命が失われました。しかし,その数倍の方の命を,近隣住民が力を合わせて救い出したそうです。救急隊や自衛隊の到着を待っていては,とても時間がかかるため間に合わないのです。 その時に活用されたのが,長くて丈夫な柱や車のジャッキなどだそうです。 倒壊した家屋等の下敷きになった場合,10数分以内に助け出さなければ,命が助からないそうです。その僅かな時間の間に『てこの原理』を使える人たちが,多くの尊い命を救ったのです。 当時(1995年)の大人は,『てこの原理』を『命助け』に活用できるだけの知識と経験があったのでしょう。しかし,現在では,『てこ』を小学6年生で道具の利便性として学ぶだけですし,中・高では,ほぼ扱いがありません。だからこそ,近い将来必ず起こる大震災の際に『命』を救う術を,知識と体験で6年生の子どもたちに学んで欲しいと強く願いながら授業をしてきました。 まず,バールで釘抜き体験をします。そして,支点と力点,作用点との距離がどうあるべきかを学びます。 次に,廃棄する自在箒の柄と2Lペットボトルで『もっこ担ぎ』を体験させます。ペットボトルは,穂先結びにすれば,簡単に固定したり移動したりすることができます。 ナイロンロープを70cmにカットします。端を結んで輪にします。水満タンの2Lペットボトルの口に結え付けます。反対側をメガネのように折り返し,重ねた輪に指を通します。引けばしっかり結べるし,簡単に緩めることもできます。一人2回ずつ練習させました。輪に棒を通せば,実験準備完了です。 支点,力点,作用点の位置を変え,手応えがどう変わるかを,役割分担しながら体感させます。 力点の位置を変える:支点からの距離が短いと手応えが大きいですが,長いと手応えが小さくなりました。 作用点の位置を変える:支点からの距離が長いと手応えが大きくなりますが,短いと手応えが小さくなりました。 つまり,支点から作用点までの距離はできるだけ短く,力点までの距離はできるだけ長い,これがベストだと体感的に学ぶことができました。 ノートまとめをする前に,ジャマにならないよう,セットを机上に置かせます(動画)。数人の児童は,気づいてびっくりします。誰も押さえてないのに,ペットボトルがひっくり返らない! なぜ?どうして?WHY? 班で考えさせると,棒の重さがポイントだと気づきます。支点を少しずつずらして,釣り合う位置を探らせます。棒がひっくり返ってケガをしないよう,反対側を,必ず手でガードするよう指示しました。5年生で教えた重心の位置に,棒の重さがかかっていることを共通理解させました。 この学びは,科学実験データベースNo.459の『指1本で車を持ち上げよう』につながります。 ちなみに,ペットボトル2本でも大丈夫。なんと3本6kgでもまだ釣り合うのでびっくりです。 その後で,私が子どもの頃に見た,工事現場で働く『もっこ担ぎのプロ』の技を見せて,箒の柄とペットボトルでマネさせました。 もっこ(荷物)は,体すれすれの最短距離に。臀部には,ケガをしないよう皮の腰巻きのような物を巻いていたと記憶しています。 棒は,両手ではなく片手で。しかも,肩を入れて手首を乗せただけ。怠けているようですが,これが,支点から力点までの距離を最も長くすることになるのです。 さらに,見た目がカッコ悪い『ガニ股』歩きも,理に叶った歩き方でした。 クレーン車が作業前に展開する『アウトリガー』だったのです。『ガニ股』になってモーメントを大きくすることで,重い荷を安定して運ぶことができたのです。 荷重20kgをぶら下げて運ぶのはきつい! 今は見ることのない『もっこ担ぎのプロ』の技が,見た目は悪くても,科学てんこ盛りで効率の良い『仕事の知恵』だったことを,確認させることができました。 【テコ原理(Lever Principle) もっこかつぎ(Mokko Katsugi) てこの活用(Application of Lever) 地震時の救助法(Rescue Techniques during Earthquakes) てこを使った命の救出(Lever-based Life Rescue) バールでの釘抜き実験(Crowbar Nail Pulling Experiment)もっこ担ぎ体験(Mokko Katsugi Experience)ペットボトルてこ実験(Bottle Lever Experiment)てこの原理と重心(Lever Principle and Center of Gravity)大震災時の生存術(Survival Techniques during Major Earthquakes)】

基本情報

分野 分野2 育てたいもの 管理番号 季節 場所 難易度 危険度
物理 力 モーメント 探究心 966 春夏秋冬
春夏秋冬
室内;
室内
普通
少し危険
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