川砂 海砂 ふるい 双眼実体顕微鏡 スマホ 鳥取砂丘とサハラ砂漠の砂
・砂の角が丸いか角ばっているか調べる。
・砂をふるいにかけ,双眼実体顕微鏡で観察する。
・川砂は角ばっていて,海砂でもなかなか角が取れないことがわかる。
小学5年生の『流れる水のはたらき』では,山の中では大きくて角張った石が多く,平地では丸みのある石や砂が積もっている,海の近くでは砂や泥が積もっていると学びます。そうなる理由は,流れる水のはたらきで石が運ばれている間に,石同士がぶつかり合い,割れて小さくなったり角が欠けたりするからだと説明しています。 「では,下流の砂粒も,角が取れて丸くなっているのでしょうか。」ある小学校理科の勉強会でこう問いかけたところ,全員が丸くなっていると答えました。別の研修会でも,多くの人が砂粒の角が取れて丸まっているという意見でした。 私は事前に,加古川下流の砂粒をふるいで採取し,双眼実体顕微鏡(×20)で確認していました。すると,明らかに角が残っていたのです。実は私自身もそうであったように,皆さんは確認することなく,そうなるものだと誤認識していたのです。 では,砂粒の角が丸まらないのは,なぜ?どうして?WHY? この事実を知って考察してみましょう。 石同士は,ある程度重さがあるので,ぶつかり合った衝撃で割れたり角が欠けたりします。しかし,小さな欠片である砂粒は軽いため,ぶつかり合っても衝撃力が小さいので,それ以上割れたり角が欠けたりすることはない。ということだったんですね。 だがしかしだけれども,丸みを帯びた砂粒も存在します。この砂粒は,どうやって角を落としたのでしょうか。 この砂粒は,川砂ではなく海砂なのです。だとすれば,この海砂を採取した場所は,きっと波打ち際だと考えられます。 何度も何度も波に洗われているうちに,お米を研ぐように砂粒同士が擦れ合って角が取れたのだろうと想像できます。 そう言えば『星の砂』も,多くは角が取れて丸くなっているそうです。 そこで,海砂を改めて採取し,観察してみました。結果は如何に!? 瀬戸内海の林崎にある松江海水浴場で調査しました。 A地点。見た目は細かくて綺麗な砂ですが,双眼実体顕微鏡で見ると,ほとんどの粒が角張っています。 同じくB地点。まだ角張っています。 同じくC地点。本命の波打ち際です。しかし,期待に反して角張っていま〜す! なぜ?どうして?WHY? 海水浴場なので,波が弱いからでしょうか。 そこで場所を変え,波がもっと荒い場所で砂を採取することにしました。今度こそ! D地点,波打ち側の砂粒です。海水浴場よりは,角が取れている・・・ような気がします。 同じくE地点。波の下の砂粒です。あまり変わりません!「丸みを帯びている」とは言い難いという結果になりました。 ちなみに,鳴き砂で有名な島根県琴ヶ浜の海砂を観察すると,硬い石英の粒がかなり丸みを帯びています。日本海は瀬戸内海に比べて波が荒いため,打ち寄せる波で砂粒同士が強く擦れ合い,角が取れて丸みを帯びるようになったんでしょうね。 砂粒の角についてわかったことをまとめます。 川砂の角は,下流であっても角ばったままが多いです。それは,小さくて軽いため,ぶつかり合ったとしても衝撃力が小さいからです。 「じゃあ,波打ち際の砂は,何度も何度も擦れ合っているので角が取れている!」と,安易に決めつけていました。 しかし,調べてみると,丸みを帯びているとは言い難い結果でした。 つまり,「砂粒の角は,おいそれと丸くなるものではない!」ということが判明したのです。 原体験の例会で出た,おまけ情報です。 砂丘や砂漠の砂粒なら風で擦り合わされ,角が取れているのではないでしょうか。 さらに乾燥しているので,海辺の砂粒よりも摩擦係数が高いはずです。 そこで,鳥取砂丘とサハラ砂漠の砂粒を取り寄せて,双眼実体顕微鏡で観察しました。 鳥取砂丘の砂は,海辺の砂と同じく角は取れてませんでした。 では,サハラ砂漠の砂粒ならどうでしょう。 さすがに,かな〜り丸くなっています。角が取れています。長〜い時間をかけて風化されたのでしょうね。
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