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シロスジヒゲナガハナバチの『蜂団子②:熾烈な巣穴争奪戦!』

  • シロスジヒゲナガハナバチの『蜂団子②:熾烈な巣穴争奪戦!』

材料

iphone 三脚 エナメル線 定規 ピンセット 捕虫網 飼育ケース 

内容

・シロスジヒゲナガハナバチの「1対1蜂団子」について調べる。
・シロスジヒゲナガハナバチの生態を観察する
・シロスジヒゲナガハナバチの「1対1蜂団子」は,雌バチによる巣穴争奪戦であることがわかる。

詳細

4月9日,前日に草刈りをしたシロスジヒゲナガハナバチの営巣地の様子を見に行きました。 4月1日には9割ほどが雄バチでしたが,今日は半数以上が雌バチで、ブンブンと地面すれすれを這うように飛び交っています。 大きな羽音がする方を見ると,雄と雌1対1の交尾でした。大きな『蜂団子』はもう見られません。 巣穴の数が,ずいぶん多くなっています。あちこちで巣穴を出入りする雌バチの様子が見られました。 巣穴のそばには,大量の土砂が掘り出された形跡が見られました。 巣穴を掘り始めた雌バチがいました。書き出した土砂を外へ押し出しています。 しかし,自分達が出てきた古い巣穴を再利用するのか否かは不明です。 別の巣穴を掘る雌バチがいたので,しばらく様子を観察しました。 体よりも大きな石を押しのけるほどのパワルフな掘削力です。 交尾した雌バチは,地中を掘り進んだ坑道の先の育房に花粉と蜜を集め,卵を1個産みつけるそうです。 巣穴の深さを測るため,エナメル線を差し込んでみました。坑道の長さの多くは23〜4cmでしたが,最長は33cmもありました。 雌バチが潜り込んでいる巣穴に,エナメル線を突っ込んでみました。さすがにお怒りを買ったようですが,大した攻撃ではありませんでした。 雌バチの中には,後肢にオレンジ色の花粉団子をつけている個体が見られます。花粉を運んできたということは,すでに交尾済みということでしょう。 1つの巣穴から,ビィ〜という大きな羽音が聞こえてきます。中で交尾か!?と思って様子を見ていると,花粉団子をつけた雌バチが穴から押し出されてきました。でも,めげずにもう一度潜り込んでいきます。 再び激しい羽音が! 中で何かと戦っているのでしょうか。 再び押し戻され,外に放り出されました。そして,奥に見えたのは,もう1頭の雌バチの顔でした。 睨み合っています!たぶん睨み合っています!人様の巣穴を使おうなんて,とんでもない蜂もいたもんです。 そらあかんやろ! でも,おかしなことに,追い出されてもまた,頭から穴に突っ込んでいくのです。そんなことを何度も繰り返しています。 長〜い坑道を自力で掘るのは至難の業です。きっと何時間もかかる重労働です。他蜂の巣穴を使えれば楽ちんです。 でも,そんな手前勝手なことが許されるはずがありません。 『巣穴争奪戦』雌バチ同士の戦いは,あちこちで繰り広げられていました。 争いは巣穴の外まで続き,雌同士の熾烈な争い『1対1の蜂団子』は,見ていて怖いほどです。ただ,針で差し合う様子は見られません。 やっとのことで勝ち残った雌バチが,自分の巣穴に潜り込みました。途端にまた大きな羽音が! 戦いの隙をついて,別の雌バチがちゃっかりと潜り込んでいたのです。 こうなると,先程の花粉団子をつけた雌バチは,自分が汗水たらして掘りあげた巣穴を,他の蜂に強奪されたのかもしれません。 まったく油断も隙もあったものではありません。 結局,勝者は誰だったんでしょうね。 雄バチは交尾中のペアに,平気で横入り! 気の毒だと思っていた雌バチまでもが,他蜂の巣穴を早い者勝ちで横取り! どうやら,シロスジヒゲナガハナバチという種には,「人の物を見たら,我が物と思え!」という種訓があるようですね。 たまたま草刈りをしていて遭遇した,見た目はとっても可愛いシロスジヒゲナガハナバチの,知られざる本性のレポートでした。

基本情報

分野 分野2 育てたいもの 管理番号 季節 場所 難易度 危険度
生物 生態 探究心 959
春
野原;
野原
普通
少し危険
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