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シロスジヒゲナガハナバチの『蜂団子①:熾烈な雌バチ争奪戦!』

  • シロスジヒゲナガハナバチの『蜂団子①:熾烈な雌バチ争奪戦!』

材料

iphone 三脚 ピンセット 捕虫網 飼育ケース 

内容

・シロスジヒゲナガハナバチの「蜂団子」について調べる。
・シロスジヒゲナガハナバチの生態を観察する
・シロスジヒゲナガハナバチの「蜂団子」は,雄バチによる雌バチ争奪戦であることがわかる。

詳細

4月1日,畦の草刈りをしていると、カラスノエンドウが生い茂っていない場所がありました。 近寄ってみると、ハチが数十頭、ブンブンと地面すれすれを這うように飛び交っています。 最初に思いついたのは、ミツバチの分蜂です。しかし、それにしては数が少ないし時期が違う。しかも、体つきが小さいような・・・ ビィ~~と,ひときわ大きな羽音がする方を見ると、数頭のハチが組んず解れつ! ものすごい勢いで絡み合っています。 「これぞ噂に聞く『蜂団子』か!」 ニホンミツバチの巣を襲うオオスズメバチを数十頭のミツバチが包み込み、体温を上げて“熱殺”するというアレです。 しかし、『熱殺蜂球』はニホンミツバチ特有の必殺技です。それに,団子の中にスズメバチは見当たりません。 動きが速いので,なかなか正体が分かりませんでしたが,ミツバチより小さくて白っぽい。そして何よりの違いは、触角が体長ほど長~い。 しかしてその実体は! どうやら、ミツバチよりも小型の「ヒゲナガハナバチ」のようです。 体色が白っぽいものと黄色っぽいもの、触覚が短いものと、3つのタイプがあることが分かりました。 3種を採取し,冷蔵保存して動きを止めました。 そして、前翅の模様の違いを元にして「ニッポンヒゲナガハナバチ」か「シロスジヒゲナガハナバチ」かの判別を試みました。 前翅の翅脈で作られる形状の一部(亜縁室)が、3個つながりならニッポンヒゲナガハナバチ、2個つながりならシロスジヒゲナガハナバチだと判定することができます。 その部分を拡大して観察すると、白ヒゲ長,黄ヒゲ長,黄ヒゲ短の全ての亜縁室が2個つながりなので,3頭とも「シロスジヒゲナガハナバチ」だと判明しました。 『蜂団子』をスローで見ると、白っぽいハチと黄色っぽいハチが激しく争っています。同じ種なのに,どうして必死で戦っているのだろうと不思議に思いました。 その塊ごと容器に採取して観察すると,『蜂団子』の中心にいたのは,1頭の触角が短い雌バチだと分かりました。 冷蔵保存した画像の真ん中が,触角が短い雌バチです。 「シロスジヒゲナガハナバチ」は、春に土中の巣から単体で羽化します。先に羽化した雄バチがパトロールしながら,今や遅しと羽化してくる雌バチを待ち構えます。 そして,見つけ次第,交尾・交尾・交尾〜〜! つまり、「シロスジヒゲナガハナバチ」の『蜂団子』は、雄バチたちの熾烈な雌バチ争奪戦だったのです。 1頭が交尾していてもお構いなし!他の雄バチ達が,我も我もとものすごい勢いで割り込んできます。そして「団子状態」になるのです。 団子状態は,下に転げ落ちても続きます。 気の毒なのは雌バチです。「花より男子」状態かもしれませんが,彼女には選ぶ権利なんてないようですね。 シロスジヒゲナガハナバチが交尾のために飛び交う様子は,春先の短期間にしか見られないそうです。 来年もまた,この時期に出会えるといいなと思っています。 シロスジヒゲナガハナバチに,毒針はあるのでしょうか? スズメバチの毒針は,雌バチの産卵管が変形したものだと言われています。ですから,産卵管のない雄バチに毒針はありません。 シロスジヒゲナガハナバチの雄バチをつかまえて観察しました。刺すふりはしますが,毒針は出ません。雄バチの唯一の武器は大顎です。 雌バチはどうでしょう。ミツバチのような社会性の蜂ではないので,雌バチ全てが個々に産卵します。 つまり,産卵管が機能しているので,毒針はないのでしょうか。 刺激を与えると,毒針を出しました。明らかに毒針です! シロスジヒゲナガハナバチの雌バチには,産卵管とは別に,毒針もあることがわかりました。

基本情報

分野 分野2 育てたいもの 管理番号 季節 場所 難易度 危険度
生物 生態 探究心 958
春
野原;
野原
普通
少し危険
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