デジカメ
・「天使の梯子」が放射状に見える理由を探る。
・「天使の梯子」「エンジェル・ラダー」を撮影して,様子を調べる。
・遠近法の効果で,光芒が放射状に見えることがわかる。
厚い雲の切れ目から,光の帯が地上まで直線的につながって見える「天使の梯子」「エンジェル・ラダー」などと呼ばれる気象現象があります。天使が登り降りしていてもおかしくないほどの神秘的な光景です。見える機会が少ない現象なので,見えたら幸福になるともいわれています。 正式な名称は「薄明光線」で,経験的には、太陽高度が低くなった夕方に見られることが多いようです。 見える条件は,太陽光線を遮るほど厚みのある雲が空を覆っていること,その雲の所々に切れ目があること,空気中に小さな水滴や塵がたくさん浮遊していることなどです。 その小さな水滴や塵によって太陽光線が散乱されるため,光の筋(光芒)のように見えます。つまり「天使の梯子」は,「チンダル現象」の一種だといわれています。 光の光芒は1ヵ所からだけでなく,何ヵ所からも見えることが多いです。その場合の光芒は、雲に隠された太陽から放射状に出ているように見えます。多くは下向きですが,上空に向かって見える場合もあります。 さて,ここで疑問をもたれる方があるようです。 太陽は約15000万kmも遥か彼方にあり,地球の約109倍もの大きさがあります。そのため,地球に到達する太陽光線は平行光線だと学びました。それなのに,光芒はなぜ放射状に見えるのかという疑問です。 光は,狭い隙間から出るときに回折する性質があります。そのため,雲の切れ間から扇状に広がって見えるのではないかという考えがあるようです。しかし,光の波長によってその広がり方には違いがあります。 太陽だけを雲に隠したとすると,その太陽から四方八方に光芒が広がって見えるでしょう。これは,遠近法を適用して説明されています。遠くのものは小さく見え,近くのものは大きく見えます。平行であるはずの線路が,手前は幅広く見えるのに,遠くにあるほど狭く見えます。 つまり,巨大な太陽はとても遠くにあるので月と同じぐらいの大きさに見え,平行光線は,太陽から四方八方に広がるように見えるということです。 「天使の梯」は,日常的に見えるものではありません。そして,太陽光線は平行光線だという知識がインプットされています。そのため,たまたま見えた光芒が放射状に見えることに違和感を覚えるのではないでしょうか。 おまけ情報ですが,「天使の梯子」を撮影して早送りにして見れば,太陽の動きに伴って光芒の広がりも移動することがわかります。
地学 | 気象 | 探究心 | 940 | 春夏秋冬
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山;海;野原; |
難しい
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普通
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