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磁石にぶら下げた鉄釘の磁極は,どうなっているか調べよう。

  • 磁石にぶら下げた鉄釘の磁極は,どうなっているか調べよう。

材料

棒磁石 鉄釘 マグチップ ホールセンサー磁気測定器

内容

・磁石にぶら下げた,鉄釘の磁極がどうなっているか考える。
・マグチップや磁気測定器を使い,釘を磁石につけたり外したりして,磁極を調べる。
・磁石に釘がついている時は,N極S極の別は現れないことが分かる。

詳細

磁石のS極に,2本の鉄釘を繋げてぶら下げました。この時,釘の磁極は,それぞれどうなっているでしょう。 動画の絵図を見て,「そう,その通り。学校で習った。」と答える人と,「いや,そうじゃない。違うだろ。」と答える人に分かれます。さて,あなたはどちらですか? 私はAでした。なぜなら,磁石のS極につけていた鉄釘を外します。その釘を方位磁針に近づけると・・・。頭部がS極を引き寄せ,先端部は反対にN極を引き寄せます。つまり,磁気誘導されて,釘の頭部がN極,先端部がS極になっているからです。 しかし,No.889「磁石の難問にチャレンジしよう」に,磁石のS極に付けた鉄の棒の両端は,何極になっているだろうか,という問題があります。この問題で,「棒全体がS極になっている」が正解だと確認してから,疑問が湧いてきました。 S極に鉄釘を2本ぶら下げたとすると,釘1本1本にN極S極が現れるわけではなく,2本全体がS極になっているのではないでしょうか。 それを確認するため,2つのアイテムを使って実験をしました。1つめは,「マグチップ」です。砂鉄よりもずっと扱いやすくて,磁力線の様子がよ〜く分かります。 2つめは,上橋智恵さんが開発された「ホールセンサー磁極測定器」です。この装置は,単に磁極を教えてくれるだけでなく,磁気力も数値で分かる優れものです。 まず,磁石のS極に2本の鉄釘をつけ,上からパラパラと「マグチップ」をふりかけました。その結果,1本1本にN極・S極ありきではなく,見慣れない磁力線が現れました。 しかし,2本をくっつけたまま磁石から外すと,少し変わった磁力線が見られました。それでも,1本1本にN極・S極が現れたことが分かります。 2本を離して「マグチップ」をふりかけると,それぞれにN極からS極への磁力線が見られました。これまで,こうなっていると思い込んでいた姿です。 つまり,磁石について一体化しているときには,本体の強い磁力線の中にあって,磁力線の一部と化したかのようになり,個別の磁力線は生まれないということです。 次に上橋さんの「ホールセンサー磁気測定器」で,磁極の様子と磁気力を調べてみました。 磁石のS極に釘がついているとき,やはり2本の釘の端から端までS極になっています。S極から離れるほど磁力は小さくなっているわけではありませんでした。さらに,2本目の磁力は極端に小さくなっていることが分かります。 ただ,2本目の頭部にN極が現れ,すぐ下は磁力が0になります。これは,1本の棒状ではなく,形状が変わるためだと思われます。試しに長い釘に変えてみると,そのような変化は見られませんでした。 磁石から外して「ホールセンサー磁気測定器」で調べてみると,それぞれの頭部がN極,先端部がS極,胴部は磁力0になっていることが確かめられました。 まとめると,磁石についている間は,釘にN・Sの磁極の別は現れず,1種類の磁極になっている。磁石から離すと,N・Sの磁極が現れるということが確認できました。 ただ,これは,釘の周りの磁力線の様子です。そうすると,S極にS極がついているのはなぜかという疑問が残ります。 この件については,釘の内部の磁束線の様子を考えると,N極S極になっているからだと考えれば良いのでは無いでしょうか。 このように,確かめることもせず,こうに違いないと間違って思い込んでいることが,他にもあるのかもしれませんね。

基本情報

分野 分野2 育てたいもの 管理番号 季節 場所 難易度 危険度
物理 磁気 探究心 920 春夏秋冬
春夏秋冬
室内;
室内
普通
少ない
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