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スズメバチの廃巣(はいそう)を解体してみて分かったこと

  • スズメバチの廃巣(はいそう)を解体してみて分かったこと

材料

スズメバチの廃巣(はいそう) ノコギリ トレー ピンセット

内容

・スズメバチの廃巣を観察する。
・外皮をはがして,内部の様子を調べる。
・中は,もぬけの殻ではない場合があることが分かる。

詳細

No.905で紹介したように,以前,現役の?スズメバチの巣を解体したことがありました。今回は,冬になって廃巣された巣を見つけたので,解体することにしました。 なぜかと言うと,新女王バチとオスバチが飛び立った後,働きバチ達は巣を離れて死を迎え,巣は空っぽになると言われています。一方で,その空の巣を,他のスズメバチやアシナガバチが,越冬場所として使っている場合があるとも言われています。それを,実際に確かめてみたいと思ったからです。 1月2日,茂みの中から切り出したのは,コガタスズメバチの巣でした。出入り口は1カ所で,直径は30㎝弱。持った感じは軽く,揺すっても,中で何かが蠢いている気配はありません。 ノコで外皮に切れ目を入れ,半分ほど剥がして巣盤が見えるようにしました。驚いたことに,巣本体の底に,数頭のスズメバチが落ちています。巣盤の間に挟まっていた個体を含めると,全部で15頭が見つかりました。 やはり,空になった巣で,他の巣の新女王バチ達が越冬しているのでしょうか。でも,ピクリとも動きません。取り出して確かめてみることにしました。 どうやら,コガタスズメバチのようです。外部から入ったのでしょうか,それとも,この巣の主人なんでしょうか。 尾部先端の形状から判別すると,全てメスバチでした。その内の2頭は,他よりも2回りほど小ぶりです。これが働きバチだとすると,残り13頭は,春に新しく巣を作り始めるはずの『新女王バチ』ということになります。働きバチならまだしも,結婚飛行に飛び立ったはずの新女王バチが,集団で巣の中で死んでいる? どういうことでしょう。 ボール型の巣は,4段の『巣盤』と,それを包み込む幾層にも重なった『外皮』から成っています。外皮には『空気室』と呼ばれる隙間があります。この構造なら断熱効果がとても高く,冬の寒さから身を守ってくれる極上の越冬場所になることでしょう。ここを越冬場所にすることは,とても合理的な選択だと思われます。 改めて,新女王バチ達は,なぜ巣の中で死んでいたのでしょう。いったん巣を離れてオスバチと交尾し,再び我が家へ戻ってきたのでしょうか。ただ,我が家とは限りませんが。どうにも理解できない状況です。 最も下の巣盤を覗くと,残された数匹の幼虫が見つかりました。世話されることなく,皆んな死んでいます。ただ,産みたての卵のような状態のものは,まだ生きているようでした。もう,死を待つしかないのですが。 冬になると,スズメバチの巣は空っぽになると言われていますが,例外があることが分かりました。 実際に解体してみて初めて知ったことがいくつもあって,なかなか楽しい,ゴガタスズメバチの巣の解体作業でした。

基本情報

分野 分野2 育てたいもの 管理番号 季節 場所 難易度 危険度
生物 動物 生態 探究心 915
冬
野原;
野原
難しい
危険
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