原体験コラム一覧
科学実験データ一覧

科学的にも正しい天気予報『観天望気5』「すじ雲編」

  • 科学的にも正しい天気予報『観天望気5』「すじ雲編」

材料

デジカメ スマホ PC

内容

・「すじ雲観天望気」を検証する。
・すじ雲が見られたら,2〜3日の間,天気の変化を観察・記録する。
・「すじ雲観天望気」は,科学的データに照らし合わせても,正しい天気予報であることが分かる。

詳細

観天望気とは,昔から伝わる天気予報に関する「ことわざや言い伝え」のことです。5年生の理科で少し顔を出す程度の扱いですが「下駄を蹴り上げて裏返ったら雨」のように不確かなものではありません。科学的にも根拠のある,素晴らしい生活の知恵だと言えます。気象予報士にとって基本だと言われる観天望気が科学的にも正しいことを,子どもたちに知ってもらいたいと願っています。 そこで,「夕焼け」「東西に棚引く煙突の煙」「すじ雲やうろこ雲」などを見かけたら,雲の衛星画像・雨雲レーダー・気圧配置などと照らし合わせて,子どもたちと,天気の当たり外れを検証してきました。 子どもたちには,各自が調べた観天望気と天気の変化,テレビの天気予報と当たり外れ,感想などをレポートする課題を与えています。少しでも自然の変化に目を向け,それが天気予報につながり得ることを体験的に知ってほしいからです。 「すじ雲が出た日は晴れる」:「すじ雲観天望気」には,2つの予報があります。1つ目は,すじ雲が見られたら,その日1日は晴天に恵まれるというものです。朝7時,南の青空に,何かしら迫力のあるすじ雲が広がっていました。シュッシュッとハケではいたような美しい姿です。気象衛星による雲画像を見ると,この地域の西方には,雲が全く見られません。雨雲レーダーでも当然のことながら,雨雲は見られません。天気図を見てみると,高気圧が西方から近づいてきていました。今日1日が晴れることは確実です。その日1日は,少し雲が出た程度で,とても良い天気でした。「すじ雲観天望気①」は,大当たりでした。夕方になっても,西の空には雲が全く見当たりません。「夕焼けの翌日は晴れ」という観天望気通り,明日も晴天に恵まれるでしょう。 「すじ雲が出たら,2〜3日後には天気が崩れる」:これが「すじ雲観天望気②」です。2日目の朝7時。「夕焼け観天望気」通り,朝から青空が広がっています。今日も1日,晴れそうです。しかし,雲画像を見ると,西方から雲の塊が近づいてきています。でも,雨が降るのは,まだ先のようです。雨雲レーダーで確認すると,その雲は,雨雲ではありません。天気図では,高気圧が東方に去っていくので,天気が崩れる予感がします。8時過ぎに「うろこ雲」が見られました。これも,天気が崩れるお知らせ雲だと言われています。夕方になると雲が広がり「うろこ雲」の一種である「さば雲」まで見られました。いよいよ天気が崩れてくるようです。雲画像を見ると,濃い雲の塊が近づいてきています。雨雲レーダーでは,その雲が雨雲だと確認できました。しかし,まだかなり西方にあるので,雨が降り出すまでには時間がかかりそうです。ただ,天気図を見ると,低気圧が近づいてきているわけではないようです。 3日目の朝7時です。全天が雲に覆われ,一部の雲は,かなり厚くなっています。雲画像を見ると,この地域は,濃い雲の塊に覆われています。雨雲レーダーでは,雨雲がすぐ近くまで迫り来ていることが分かります。いつ雨が降り出してもおかしくない状況です。天気図には,いつの間にか低気圧が現れ,近づいてきています。大雨になるのかもしれません。午後1時過ぎ,とうとう雨が降り出しました。この雨を2日以上前,56時間前から予測していたなんて「すじ雲観天望気」 の実力を侮るなかれです。雲画像を見ると,この地域は,大きくて長い雲の塊に覆われています。雨雲レーダーを見ても,この雨は,しばらく降り続きそうです。天気図でも,低気圧がすぐそばまで近づいてきていることが確認できました。 科学的データに基づく天気予報でも,この雨は予測されていたのですが,「すじ雲観天望気②」は,それに引けを取らない優れた天気予報でした。 このように「すじ雲」は,その日ばかりか,2〜3日後の雨まで予測できる優れた観天望気でした。先人による生活の知恵ではありますが,科学的データに照らし合わせても正しく天気を予測してくれる観天望気の素晴らしさを,これからの世代の人にも,ぜひ語り伝えてほしいと願っています。

基本情報

分野 分野2 育てたいもの 管理番号 季節 場所 難易度 危険度
生活 地学 言い伝え 大気と水  探究心 909 春夏秋冬
春夏秋冬
山;野原;広場;
山 野原広場
普通
普通
前のページへ戻る