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教室に迷い飛び込んでくるスズメバチ 刺さないオスバチを見分けよう!

  • 教室に迷い飛び込んでくるスズメバチ  刺さないオスバチを見分けよう!

材料

捕虫網 保管容器 ピンセット 保護(安全)メガネ パック袋 冷蔵庫 

内容

・教室に迷い飛び込んでくるスズメバチの雌雄を調べる。
・スズメバチを捕獲し,パック袋に入れて観察する。
・毒針の有無,触角の長さ,腹部先端の形状で,雌雄を判別できる。

詳細

「ヤブカラシ」はその名の通り,下に埋れた草木を覆い尽くし,枯らしてしまいそうな勢いで茂ります。花は小さいのですが甘い蜜をたっぷり出すので,いろいろな昆虫がやってきます。特に多いのが,スズメバチの仲間です。オオスズメバチはもちろんのこと,ヒメ・コガタ・キイロスズメバチなどが,蜜を求めて集まります。 花盤には蜜が溢れていて,スズメバチは盛んに舐め取ります。近くに寄って撮影しても,攻撃してくることはありませんでした。 これだけなら特に問題はないのですが・・・。 9月ごろ,スズメバチの雄と新女王蜂になる雌は,結婚旅行に飛び立ちます。その途中で,学校の教室の窓から迷い飛び込んでくるのです。当然子ども達は恐れ慄きます。これまで迷いバチに刺されたことはありませんが,なかなか出て行ってくれないときは,怒らせないようそっと網ですくって外に逃します。 雄のスズメバチだと,毒針を持っていないので刺されることはありません。噛まれないよう注意すれば,指でつまんでも大丈夫です。でも,見誤って刺された人がいるので,決して触らないでくださいね。 そもそも毒針は,卵を産む必要のなくなった雌(働き蜂)の生殖器が,巣を守るために変化したものです。腹部先端をカパッと開いて毒針を出します。スズメバチのフィギュアで,それが再現されていました。 捕獲したり観察したりするとき,刺されないようピンセットでしっかり摘みます。その際には,必ず保護(安全)メガネを装着します。なぜなら,毒針で刺されなくても,毒液を噴射される恐れがあるからです。くれぐれも注意してください。 毒針以外でもオスとメスを見分けるため,捕獲しました。方法は,網ですくったら,ピンセットで胸の辺りをつかみ,頭から容器に入れればOKです。そのまま冷蔵庫で保存して,大人しくなってもらいます。昆虫は,8℃以下になると動くことができなくなります。冬眠状態と同じです。 パック袋に入れて観察します。コガタスズメバチで観察してみました。雌雄を見分けるポイントは2つ。 1つ目のポイントは,触角の長さ。比較的長い方がオスです。しかし,触角が長めのメスがいるかもしれないので,安心はできません。 2つ目のポイントは,腹部先端の形状です。雌は先が尖っています。そこをカパッと開いて毒針を出します。オスは毒針の代わりに,交尾するための交接器を出します。そのため,先が少し分かれたような形状になっています。 この2つポイントを知っていれば,雌雄を判別することができます。 ヒメスズメバチを観察すると,教室に飛び込んできた全ての個体が,触角が長くて腹部先端が尖っていないオスでした。 キイロスズメバチは1個体のみでした。観察すると,腹部先端が尖っていて,ピュンピュンと毒針を出します。メスで間違いなしです。ただ,触角は,長いと言えば長く感じるので,当てにできないなと思いました。 ヤブカラシを訪れたオオスズメバチも観察しました。触角は短いようですし,腹部先端が尖っています。毒針を何度も出していたので,これもメスに間違いありません。 パックに入れ,種類ごとに分けてみました。すると,教室に迷い込んできた数が最も多いのが,ヒメスズメバチ。ついでコガタスズメバチ,キイロスズメバチの数は少なく,オオスズメバチが入ってきたことはありません。これは,立地条件によって違ってくると思います。 次に,雌雄を調べてみました。すると,黄色シールのメスよりも,青シールのオスの方がずっと数が多いことが分かりました。 多い日には10頭以上が迷い飛び込んでくるので,迷惑な話です。ただ,オス達が,死ぬ前に必死で新女王蜂を探して飛び回っているのかと思うと「頑張れよ〜」と,声をかけてあげたくもなりました。

基本情報

分野 分野2 育てたいもの 管理番号 季節 場所 難易度 危険度
生物 生態 探究心 907
夏
山;野原;
山 野原
難しい
危険
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