科学的にも正しい天気予報『観天望気』「夕焼け編，煙西に棚引く編」

観天望気とは，昔から伝わる天気予報に関する「ことわざや言い伝え」のことです。５年生の理科で少し顔を出す程度の扱いですが「下駄を蹴り上げて裏返ったら雨」のように不確かなものではありません。科学的にも根拠のある，素晴らしい生活の知恵だと言えます。気象予報士にとって基本だと言われる観天望気が科学的にも正しいことを，子どもたちに知ってもらいたいと願っています。 そこで，「夕焼けの翌日は晴れ」「煙が西に棚引くと雨」「すじ雲やうろこ雲は，天気が崩れるお知らせ雲」などを見かけたら，雲の衛星画像・雨雲レーダー・気圧配置などと照らし合わせて，当たり外れを検証してきました。 子どもたちには，観天望気レポートとして，各自が調べた観天望気と天気の変化，当たり外れと感想などをレポートする課題を与えています。少しでも自然の変化に目を向け，それが天気予報につながり得ることを体験してほしいからです。 「夕焼けの見えた翌日は晴れ」：綺麗な夕焼けが見えました。雲画像を見てみると，西方に赤い夕日の光を妨げるような雲はありません。雨雲レーダーを見ても，西方に雨の地域はありません。気圧配置では，西方から高気圧が近づいてくるようです。当然，翌日は晴天でした。 この観天望気は，科学的データに照らし合わせても正しいということが明らかになりました。 「煙が西に棚引くと天気が崩れる」雲一つない青空が広がる中，遠くの煙突の煙が西に棚引いていました。これは，観天望気では天気が崩れるサインとされています。雲画像では西方に雲の塊が。レーダーによると，それは雨雲でした。気圧配置では，西方に低気圧があります。時間が経つにつれて雲が広がり，夜には雨が降り出しました。 これまた観天望気の大当たり。 この２つの観天望気の的中率は，経験的に70％以上あると思います。もちろん，外れることもあります。しかし，今の天気予報の的中率（90％）には及ばずとも，今に伝わるだけの価値ある生活の知恵だということを，子どもたちにも伝えていってほしいと願っています。