塩化アンモニウム ビーカー 加熱器具 試験管 試験管立て 水風船 ネジ口試験管 シールテープ ピンチ
・塩化アンモニウムの結晶が析出する様子を観察する。
・試験管の中の結晶を加熱して溶かし,冷まして結晶が析出するまで待つ。
・結晶が大きくなりながら下へ沈むだけでなく,上へ昇ることもあることが分かる。
ミョウバンの水溶液が冷えていくと,結晶が姿を現します。ただ,水溶液の中に小さな種結晶を吊るし,析出する結晶を大きくて美しい形に仕上げるのは簡単ではありません。また,モールを使った結晶の飾り作りは,それほど感動的でもありません。そこで,きれいな結晶が出てくる場面に絞って実験してみましょう。 使うのは1級試薬の塩化アンモニウムです(500gで2400円ぐらい)。結晶の形が星や雪のように美しいものとして知られています。肥料である硫安は安価ですが,これではきれいな結晶はできません。 液温が40℃ぐらいで結晶が析出し始めるような水溶液づくりのレシピは,以下の通りです。水110mLに塩化アンモニウム50gを入れ,約50℃まで加熱して完全に溶かします。それを試験管5本に取り分け,フタとして水玉風船をかぶせ,試験管立てで静置します。水溶液が冷めてくると,何もなかった試験管の中に,ふっと小さな粒が姿を現します。それはすぐに小さな⭐︎のような形になり,徐々に大きくなりながら下へ沈んでいきます。結晶は大きくなると重くなって,下に降り積もっていきます。 結晶の動きは上から下への一方通行だけではありません。重力に逆らうように,結晶が上に向かって動く様子も観察できます。これは,上昇気流ならぬ,上昇水流によるものです。液体から固体になる時,凝固熱が発生します。そのために部分的に水温が上がり,軽くなった部分が上へと上がる流れができます。その流れに結晶が乗ると,下から上へと湧き上がるような結晶の動きが見られるのです。 もう一つの楽しみは,水面直下で下向きに成長していく,針葉樹のような結晶です。小さな子どもには,これを「故郷の森」だと教え,生まれた⭐︎(結晶)の中には,途中で「故郷の森」に帰って元気をもらい,また下へ旅をするものもあるよと話してあげます。これは,室温が比較的低い場合,空気と触れ合っている部分に結晶が析出し,そのまま大きく育っていくからです。大きくなると重くなり,わずかな振動で落ちてしまうので要注意です。 ⭐︎が降り積もり終わったら,再び加熱することで,何度もこの魅惑的な実験を繰り返し楽しむことができます。加熱し直す場合,水温が50℃以上に上がらないようにします。水温が上がり過ぎると,冷めるのに時間がかかります。また,急冷すると,⭐︎どころか,一気に豪雪となって美しさを楽しめません。 たまに,人肌まで水温が下がったのに,⭐︎が生まれないことがあります。これは過冷却になっているためです。試験管を少し揺すって刺激を与えてみてください。激しく振ると,これまた豪雪になるので要注意です。 塩化アンモニウムの水溶液を,ネジ口試験管に入れます。口にシールテープを巻くと,水漏れを防ぐことができます。こうしておくと,いつでも簡単に実験を始めることができます。また,ネジ口を下にしてクリップで挟めば,安定して立たせることができます。こうすれば全方位から観察することができるのでオススメです。
化学 | 物質の状態 | 探究心 | 862 | 春秋冬
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室内; |
普通
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普通
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