オオムラサキ(雌・雄) ビデオカメラ
・オオムラサキのハンドペアリングに挑戦する。
・オオムラサキのオスとメスを手に取り,腹部先端を刺激する。
・オスの把握器が開き,メスの腹部先端を掴んで交尾することが分かる。
今は亡き,奈良のオオムラサキ研究家,秋山昭士さんのオオムラサキハウスを訪ねた際,ハンドペアリングを見せていただいたのが9年前。それ以来,いつか自分でもと思い続けてきました。今年は比較的多くのオオムラサキが羽化したので本格的に挑戦したものの,苦節10年ならぬ,苦節約70回の末,ようやく成功にこぎつけた記録を記します。オオムラサキたちには,ずいぶん迷惑をかけてしまいましたが。 動画の初めに言い間違えているように,産卵(卵出)口と交尾口がどこかもよく分からないレベルからのスタートでした。 オスの腹部先端の黄褐色の爪のようなものが,メスの腹部を掴んで離さない把握器(バルバ)です。普段は内蔵されているのですが,興奮すると大きく突き出し,カパッと開きます。そして,グイッとまん中あたりで内側に折れ曲がり,メスの腹部をくわえ込みます。筋肉があるようには見えないので,その構造には不思議を感じます。 さらに,その間から,細い針金のようなものが迫り出してきます。ウンクスと呼ばれるものかと思いますが,他のチョウで報告されているウンクスは,かぎ状・釣り針状だといいます。内部で引っかかって外れなくなるそうです。しかし,他に出てくるものがないので,これがオオムラサキのウンクスのようです。 ハンドペアリングは,動画のようにオスとメスを指先で摘んで,腹部先端を近づけます。胸部後ろを主に腹部上部も摘むようにすると,チョウへの負担が少なく,固定しやすいと思います。 メスの腹部先端でオスのバルバを撫で上げるようにし,少し開いたら,左右に動かして刺激を与え続けます。しばらくすると,バルバの間からウンクスらしき細い針金状のものが迫り出してきます。 バルバとウンクスの動きは,筆とソフトチューブで実験的に観察した部分をご覧ください。 何かの拍子にバルバが大きくカパッと開いたら,狙ったところに押し当ててます。 この狙ったところが曲者でした。オオムラサキのハンドペアリングが難しいと言われてきたのも頷けます。 最初は,先端は産卵口で,やや上にあるのが交尾口。ここを狙ってウンクスを差し込もうとしました。しかし,全く入っていきません。バルバは閉じるものの,把握が浅いため,すぐ外れてしまいます。この失敗が延々続きました。 もしかして,交尾が済んだメスの交尾口は,何かで塞がれているのかもしれないと,羽化したてのメスでトライしてみましたが,結果は同じでした。 最終的に本物に学ぼうと,自然に交尾したペアの様子を無理やり見せてもらいました。すると,オスの腹部先端は,メスの産卵口辺りに位置し,バルバが掴んでいるのは,上から4つ目あたりの腹節です。ウンクスは,上から3つ目の節辺りに当たっています。入るような穴があるとは思えませんが。 この位置に,これまでと同じように興奮させてカパッと開いたバルバと迫り出したウンクスを押し当ててクイクイと左右に動かしていると・・・ガブッとバルバがメスの腹部をくわえ込みました。少し引っ張っても外れません。そっとオスを離すと,接合したままぶら下がりました。成功です! もう一度同じようにトライしても成功し,ネットにとまらせても外れませんでした。 接合は成功しましたが,これで交尾が成功したかどうかは定かではありません。何とか産卵につながることを願っています。
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