レトルト粥,100mlビーカー,水,電気ポットの熱湯,薄めたヨウ素液,綿棒(太め),透明プラスプーン,ストップウォッチ
・だ液がデンプンを消化する様子を観察する。
・お粥にヨウ素液を滴下して青紫色にしておき,だ液を綿棒で加える。
・だ液を入れると青紫色が透明になり,デンプンが消化されたことが分かる。
小学校6年理科に「ヒトの体のつくりとはたらき」という単元があり,その中で,だ液がデンプンを消化することを学びます。デンプンがヨウ素液で青紫色になることは5年生で既習済みです。そこで,対照実験として「デンプン液+だ液」と「デンプン液+水」を,それぞれ40℃(ほぼ体温)ほどに保ち,変化するか否かを調べます。5分後,それぞれにヨウ素液を滴下します。だ液で消化された方は,デキストリンや麦芽糖などデンプンとは別のものになるので,色の変化はありません(黄褐色)。水の方はデンプンがそのまま残っているので,青紫色に呈色します。ここに児童の誤認識が生まれがちです。 消化された=変化した,でも色は変化しない。消化されない=変化しない,でも色は青紫色に変化する。すでに知識を得てそれなりに経験も積んでいる大人にとっては,何の問題もないかもしれません。しかし,多くの児童にとって,消化も吸収も初めて聞く単語です。この実験では児童の思考がクロスするので,だ液によるデンプンの消化を確かめる実験としてはふさわしくないと感じていました。 そこで,「食育実践研究会」の藤本勇二氏が紹介されていた「お粥にヨウ素液を滴下して,先に青紫色にしておく」という実験と,だ液を綿棒に含ませデンプン液と反応させる実験をミックス&アレンジすることにしました。こうすると,だ液入りの方は消化されて青紫から透明に変化し,だ液なしの方は変化しないので青紫のままです。つまり,実験結果と児童の思考がストレートに繋がるのです。 実験容器は100mlビーカー2個,水入れ用にもう1個。2個のビーカーに,水を30mlずつ入れさせます。電気ポットの熱湯を30ml入れてやると,50℃ほどになります。そこに,レトルトお粥を小さじ一杯ずつ入れさせます。これをお粥湯と呼ぶことにします。そして,それぞれに薄めたヨウ素液を3〜4mlほど入れてかき混ぜ,青紫色になるようにしておきます。一人3本の綿棒(太めタイプ,紙軸)を配って軸を半分に折らせます。だ液をしっかり綿棒に含ませ,できるだけ早く,班の人数分の綿棒を片方のビーカーに入れさせます。全員が入れ終わってから,計時をスタートします。もう片方には,水を含ませた同じ数の綿棒を入れさせます。そして双方ともに,透明プラスプーンで,撫でるようにゆっくり混ぜさせます。こうして,だ液の有無に関する対照実験を進めます。2分ほどすると,だ液入りの方の色が明らかに薄まってきます。5分も経てば,白く(透明)になってしまいます。 この実験の注意点は,お粥湯の温度が60℃以上にならないようにすることです。消化酵素であるアミラーゼは,高温でははたらきません。また,水溶液中で螺旋構造をもつデンプンの鎖の中にヨウ素分子が入り込むと,青紫色になります。しかし温度が高いと,デンプンの鎖が切れてヨウ素が外に出てしまうので,最初から青紫色にすることができなくなります。消化されて鎖長が短くなることでもヨウ素が外に出るので,呈色は青→紫→赤褐色と変化し、やがて無色になります。 この実験方法でも,だ液を出すことに抵抗がある児童がいた場合,だ液の量が不十分で白く(透明)になりません。ただ,結果がこうなったとしても,児童の認識の中では,だ液の量が足りなかったから白くにならなかったとなるでしょう。あながち,全ての班の結果が白くなることを求めなくてもよいと考えています。 また,綿棒を口に入れさせることに抵抗がある方がおられるでしょう。そんな方は,口腔ケア用の大型綿棒を使ってはどうでしょう。1本30円ほどしますが,口内のだ液をすべて吸い取るほどの吸水力があるので,一人1本で十分です。また,棒の部分が長いので,攪拌棒としても使えます。実験結果は上々で,前述の太め綿棒よりも,早く白くなりました。 関連実験(あわせて、こちらもどうぞ) イカを解剖しよう
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