炭酸系のペットボトル(500ml) 水
・水入り炭酸系ペットボトルをデコピンすると,起き上がってくる理由を調べる。
・水の量を調節して,キャップの部分を指で弾く。
・押し出す力を加えると起き上がる理由が分かる。
「ボトル・フリッピング」に続いて,「伊藤家の食卓」という番組で紹介された「ヒット・ペット」という面白い遊びを追試しました。使うのは炭酸飲料の500mlペットボトルで,水を少し入れておきます。キャップの部分を横から指で弾く(デコピン)ようにして倒すと,一回転するかと思いきや,反対に「起き上がり小法師」のように元に戻るから驚きです。成功するためにはどんな条件が必要か探っていきましょう。 まずペットボトルですが「ボトル・フリッピング」で使った500mlの水ペットボトルは不向きです。倒れた時の反発力が弱いからです。炭酸飲料ボトルで,肩が張っているものは適していますが「なで肩」では成功の確率が低くなります。これは,倒れてぶつかる肩の部分が重心に近いため,ボトルを回転させて元に戻す力のモーメントが比較的小さいからです。 倒す平面は硬く,しかも,ある程度滑りやすい状態が適しています。柔らかい平面は,倒れたペットボトルの反発力が弱いので適していません。滑りやすい方が良い理由は後述します。 水の量(重さ)は,適したボトル数本で試してみた結果,ボトルの重さの約2.7倍が適当だという結果になりました。試行数が少ないので目安として使います。 デコピンの力は時々で変わりますが,一瞬のインパクトでは起き上がりにくいことが分かりました。10cmほど,やや斜め下に押し出すようにして弾くことが肝心です。また,キャップの部分は硬くて指先が痛くなるので,弾く位置は首の部分でもOKです。 様々な条件の中で最も重要なのは,押し倒すことです。それがどのような効果をもたらすのか,スロー動画で確認してみます。ボトルを素早く押し倒すことによって,ボトルは倒れ滑りながら前に進みます。すると,水は慣性で底に押し付けられた状態になります。つまり,全体の重心は低いままです。そして,底が少し浮き上がってボトルの肩が平面にぶつかり,作用・反作用の関係でボトルが跳ね返ります。回転の中心になる重心が低い位置にあるうえに,底の部分が少しスライドします。それで回転はすぐに収束し,元どおりに立つという流れです。 水だけでなく,錘がビー玉でもできそうだという報告があります。重さをボトルの約2.7倍にして追試すると成功しました。また,滑り止めシートの上でやってみました。ボトルが滑らないので水が前に動いてしまうため,起き上がってきません。ビー玉でもやってみると,前に転がって重心が移動していることがよく分かります。さらに,水を凍らせると,重心が底部分に残ったまま移動しないので成功するという報告も確認できました。http://subsites.icu.ac.jp/people/okamura/education/ge/projects/2006_files/hitpet.pdf 大きな1.5Lのペットボトルでもできるでしょうか。水はボトルの約2.7倍の重さでやってみました。ただ,重量があるので,デコピンでは力不足です。そこで,人差し指を首の部分に当てがい,一気にやや斜め下になぎ払うようにしてみると成功しました。底がペタロイド型(花弁型)のものより,底が平らで肩が丸く張っているボトルの方が成功しやすいです。TV放映当時,ヒットペットの全国大会まであり,公式ペットボトルが500mlのこのタイプでした。 いろいろ試してきましたが,最終的には力加減が重要で,体が覚えるほど遊ぶ子ども達の上達が早いのもうなずけます。 関連実験(あわせて、こちらもどうぞ) 逆立ちするアルミボトル Water Bottle Flip Edition(水ペットボトルの宙返り)の科学
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