始祖鳥は翼を持ち、全身が羽毛で覆われている鳥類最古の祖先と考えられてきました。けれども、2005年12月、その説が間違いだとの主張が科学雑誌サイエンスに発表されました。ドイツで約１億５千万年前の地層から10体目の始祖鳥の化石が発掘され、従来不明確であった脚の構造が明らかになりました。この脚の構造上の特徴が鳥類ではなく、爬虫類だと考えられるのです。
正確には、これまでも始祖鳥は「鳥類の祖先と考えられる化石動物」と記述されているだけで、鳥類と断定されていたわけではありません。歯のある顎、爪のある指、長い尾椎など爬虫類の特徴もありましたが、鳥類と同じように脚の親指が後ろ向きについていると考えられていたので、鳥類に分類されていたのです。今回、脚の親指は前向きに伸び、人差し指も上下に大きく動かせる構造であることがわかり、獣脚類恐竜に近い生物ということで、恐竜つまり爬虫類と結論づけたのです。
