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美白イケメン シオカラトンボ

美白イケメン シオカラトンボ

 シオカラトンボは、水田や池、沼など水辺で見かけるポピュラーなトンボです。最近では4月くらいから10月くらいまで、長く活動するようになりました。  ♪とんぼのめがねは水色めがね♪と童謡に歌われるモデルと言われているシオカラトンボ。緑がかった美しい蒼い眼が特徴です。また、成熟したオスの体は、まるで細かい塩のパウダーを見にまとったようです。青味がかった白い体は、一目でシオカラトンボと分かります。ただ、成虫になったばかりのシオカラトンボは、オスもメスも麦わら色をしています。メスは成長しても麦わら色が濃くなるだけですから、別名、ムギワラトンボとも呼ばれます。一方、オスは1週間もすると、お馴染みの白い粉を帯びたようになり、シオカラトンボの名前の由来どおり、塩殻(塩辛とも)とんぼにふさわしい姿になります。  2019年に、シオカラトンボのオスが分泌するワックス成分に、紫外線を効率よく反射し、はっ水性にもすぐれた物質が含まれることが研究で明らかになりました。とりわけ、シオカラトンボのオスの背中から分泌される成分を顕微鏡で観察すると、板状の微粒子が重なり、光を散乱させていることが分かり、他の生物には、あまり認められない成分であると確かめられました。今後、化粧品や塗料などへの応用がおおいに期待できるそうです。近年、美白だ、U Vカットだと声高に叫ばれ、巷に日焼け止めの商品が溢れていますが、肌の弱い人は、成分の一部にアレルギー症状を起こすことがあります。シオカラトンボのワックス研究がさらに進み、安全性が確保されれば、日焼け止めのベストセラー商品になること間違いなしです。  ところで、このワックスは、オスほど多くありませんが、メスも持ち合わせています。夏の水辺を縄張りとするオスだから多いとも考えられますが、メスに対するアピールとしての装いとも考えられています。オスのシオカラトンボは、スキンケアにもオシャレにも意識の高い美白イケメンなのです。  Ane

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