澄み切った青空を見上げると心まで晴れ晴れとしてきます。けれども、この青空は、いつでもどこでも同じように見えるものではありません。例えば春から夏にかけての青空は、空気中の水蒸気が多くなるために白っぽく見えます。また、何となく霞がかかったように見えることもあります。これは、ゴビ砂漠やタクラマカン砂漠、黄土地帯から巻き上げられた黄砂が日本にも飛んで来るからです。塵や水滴、黄砂などのベールによって空の青色は弱められてしまうのです。
秋から冬にかけては、太平洋側の空気が乾燥するため、湿度が低くなって青が濃く見えます。また、雨後、特に「台風一過」に青空がさらに濃く見えるのは、大気中の塵や埃が雨で洗い流され澄んだ空気になるからです。それよりもさらに濃い青空は日本では望めませんが、海外(乾燥地帯)でなら「空が地平線からいきなり濃い青に見える」という体験をされた方もあるでしょう。日本でも、3000m級の高山では、ほとんど濃紺と言っていいほどの青空が見られます。高山では空気が希薄な上、巻き上げられた塵なども届かず澄み切っているからこその濃い青です。