現代は法治国家の時代で、法律によって社会の秩序が守られています。もちろん、日本も法治国家ですが、法律とその運用については、昔から大岡裁きに代表される人間的な曖昧さがありました。
このたび、駐車禁止に関する法律とその適用規定に変更がありました。改正で駐停車禁止の場所に一時的にでも停車した場合、車内に人がいないと否応無く駐車違反になります。このため宅配業者は運転手の横に座るだけのアルバイト要員を募集しているそうです。今までは猶予の期間や宅配便などの特殊な事情に関しては、それぞれの状況判断で決められ、良い意味での曖昧さが許されました。違法駐車による、さまざまな弊害をなくすための取り締まりは、本来はドライバーの倫理に訴えるのが理想です。違法駐車を咎められたドライバーが「運が悪かった」と思うようでは、現在のスピード違反の取り締まりと同じです。スピード違反は、取り締まる方も、取り締まられる方も違反を前提とし、発覚すれば罰則金を支払っているにすぎません。法律化とその運用は最終的には躾・倫理・道徳の問題に帰するものかもしれません。