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ため池は,ヌートリアの楽園

  • ため池は,ヌートリアの楽園

材料

カメラ(ビデオ) 双眼鏡

内容

・ヌートリアの生態を調べる。
・ため池や川でヌートリアを見つけて観察する。
・外来種であるヌートリアが,池や川で繁殖していることが分かる。

詳細

4月上旬の夕刻,ヌートリアの親子が生息しているという,近場のため池に出かけました。親ヌートリア(メス?)が1頭,子ヌートリアが8頭以上も見つかりました。地元の子どもによると,10数頭はいるということです。 池の周りには遊歩道が整備されています。そこをランニングしたり,犬の散歩をしたりしている人が行き来しています。そんな人の姿が見えてもお構いなしに,のんびり草を食んだり泳いだり遊んだり。ここのヌートリアは,人に脅されることなく生活してこれたのでしょう。カメラを構えても,数m先なら様子をじっくり撮影することができました。さすがに1m以内に近づくと,サッと水に飛び込んで泳いで逃げてしまいましたが。 驚いたのは,エサを食べる様子です。水から上がって遊歩道を横切り,空き地の雑草をモフモフと一心に食べるのです。まるで生きた芝刈り機のようです。手始めは親が単独で。自転車が近づいてきたことに気づくと,ササっと池に戻ります。しかし,池の側で自転車をやり過ごすと,また戻って気の済むまで食べ続けました。親が食べ終わって池に戻ると,子どもたちが交代するかのように,草を食み始めました。水辺の生き物なので,食性も水生植物だと思い込んでいたので驚きました。 池では,顔を水に突っ込んだりドプンと潜水したりして,ヨシの新芽や水草などを食べていました。手先が器用で,細い茎を両手でしっかり持ってカジカジします。泳ぎながら食べている姿も目にしました。泥が溜まったところで子どもたちが,走ったりじゃれ合ったり毛づくろいしたりする姿は,とても微笑ましいものです。 泳ぎは子どもも達者で,顔・背中・尻尾を出して,スイスイと泳ぎ回ります。後足に水かきがついているので,スピードは水鳥より早いようです。 夜行性なので,夕方になると巣から出てきて,盛んにエサを食べます。採餌のため,あちこちと泳いで徘徊します。時を同じくして,ヒドリガモの群れなどが池に戻ってきます。その他,ハシビロガモ,オオバンなどで,池が賑やかになります。その他に,コサギ,チュウダイサギ,カワウなどもいました。今の時期は,エサになる水生植物の絶対量が少ないため,鳥たちとエサを巡って競合しているのではないでしょうか。そのため,陸に上がって雑草まで食べるのではないかと思いました。 ヌートリアは,約80年も前に日本に持ち込まれた特定外来生物です。各地で稲や麦,葉野菜など,農作物被害が数千万円以上と深刻だそうです。池端の雑草を食べるのですから,さもありなんです。また巣穴を掘るので,ため池などが決壊する恐れもあるそうです。見た目が可愛いく人慣れしやすいようですが,エサを与えることは許されません。観察する限り天敵はいないようなのに,アメリカザリガニやアカミミガメ,ブラックバスほど繁殖していないのはなぜでしょう。

基本情報

分野 分野2 育てたいもの 管理番号 季節 場所 難易度 危険度
生物 生態 探究心 898 春夏秋
春夏秋
川;野原;
川 野原
難しい
少し危険
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