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カブトムシの羽化,まさかまさかの白カブト

  • カブトムシの羽化,まさかまさかの白カブト

材料

カブトムシの蛹 新・人工蛹室

内容

・カブトムシが羽化する様子を観察する。
・人工蛹室に蛹を入れ,羽化のときを待つ。
・羽化直後は,前羽と腹部が黄白色であることが分かる。

詳細

脱皮したてのコオロギが白いことは,実際に観察して知っていました。しかし,昆虫の王様とも言うべきカブトムシも,羽化したばかりは白いと知ったときは驚きました。そして,何とも儚そうな美しい白色と,あの黒くて頑丈な筐体とのギャップに魅力を感じ,ぜひ子ども達にも見せてやりたいと考えました。 そこで,新・人工蛹室で蛹化した蛹を観察し,羽化するまでの変化と,羽化直前のサインを追求しました。 蛹化してしばらくの間,体色は全身ほぼ同じ黄褐色です。何日か経つと,色が茶褐色に変化してきます。そして,脚部や頭部の色がより濃くなってきて,オスの大角の中に,黒っぽい細身の大角の姿が見えるようになります。皮と体の別がはっきりしてきて,皮の内側に成虫の体が確認できるようになります。しかし,羽化にはまだまだ時間がかかります。 羽化数時間前になると,特に頭部が顕著なのですが,皮にシワがよってきて体に貼りついたようになります。体をくねらせると,クシャクシャと音がします。 この状態が数時間続いた後,やおら中脚を動かして前胸部の薄皮を破り捨てます。羽化の始まりです。このタイミングの見極めは,まだできていません。 皮が取れた前脚で,頭部(顔の部分?)の皮を剥がします。中胸部から下の薄皮は,中脚でこすり落とすようにして脱いでいきます。この間,後脚はなぜか全く動かしません。 途中で目に付く白いひも状のものは,気門の名残りです。気門がこんなにも奥深くまで繋がっていたのかと感心させられます。これがうまく抜けないと,成虫の気門で呼吸ができないので死んでしまいます。とても重要な作業です。 前羽は,腹の方に抱え込むようにしていますが,徐々に背中側に引き寄せられていきます。そして,真ん中でぴったりと合わさります。 前羽の皮が半分ぐらい脱げた頃,ようやく後脚を動かし,皮を全部脱いでしまいました。 皮を脱いだ直後,前羽は美しい乳白色で腹部の色は黄白色です。黒いカブトムシにも,こんなにも儚げで美しいときがあるのかと,プチ感動します。 後羽は,最初固まった状態で,前羽の下から少しはみ出しています。腹部の体液を送り込むことで,少しずつ伸展していきます。伸展完了まで2時間ほどかかります。 翅脈が見えるほど伸展しても,まだ柔らかい状態です。時間が経つとだんだん固くなっていきます。そして,綺麗に前羽の下に折りたたんで格納されることになります。 時間が経つと,体色は黄白色から黄土色,赤茶色と変化していき,翌日には見慣れた黒っぽい体色になります。この頃になれば,触ると凹みそうな前羽も,硬く丈夫になっています。よく仰向けにひっくり返っているので,つかまれる枝などを入れてやります。数日間は餌のゼリーを食べませんが,心配ありません。餌をどんどん食べるようになったら,部屋の中でダイナミックに飛翔させたり,相撲を取らせたりして遊びましょう。

基本情報

分野 分野2 育てたいもの 管理番号 季節 場所 難易度 危険度
生物 動物 生態 探究心 877
夏
室内;
室内
難しい
普通
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