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重さは,手に持って比べられるか。

  • 重さは,手に持って比べられるか。

材料

100円ショップのビニールボール ビー玉(大) ビニールの買い物袋 電子てんびん

内容

・大きさが違う,重さが同じような球で重さ比べをする。
・開眼で手のひらに乗せた場合と,閉眼で買い物袋に入れてぶら下げた場合で,重さを比べる。
・開眼で手のひらに乗せると,重さを正しく感じられない場合があることが分かる。

詳細

ステンレス製の大きな球と小さな球があります。見た目では大きい方が重そうです。しかし,前者は中空,後者は中身が詰まっています。これは,5000円弱する外国のサイエンス・エデュケイショナルグッズ(Steel Sphere Density Kit)です。2つの球を左右の手にとって重さを比べてみます。これを「手てんびん」と呼ぶことにします。手てんびんでは,10人が10人ともに,小さい方が重いと感じます。明らかに重く感じるのです。しかし,電子てんびんで量ってみると,重さはどちらも同じ! 重さに違いを感じるのはなぜでしょう。 投げやすいものを直感的に重いと感じるという説があります。また,2つの球を手のひらに乗せた場合,接触面積は大きく違います。小さい球の方が,手のひらにかかる力(単位面積当たりの重さ)が大きいから重く感じるのだと説明されると納得できそうです。手のひらにも,圧覚を感じる圧点がたくさん存在します。しかし,痛点より数が少ない上,表皮ではなく皮下組織に存在しているので,それほど敏感に感じられないのではないでしょうか。被験者に目をつぶってもらいます。2つの球をそれぞれビニールの買い物袋に入れ,広げた左右の手のひらに引っ掛けます。こうすると,同じ面積で重さを感じることになります。手をゆっくりと少し上下させて,重さ比べをしてもらいます。すると,元々は同じ重さなので,重さが同じだと感じる人が多くなります。また,明らかに重いと感じた小さい球の方を軽く感じたり,やはり大きい球の方を軽く感じたりするなど,感じ方に違いがあって面白いものです。 この結果を見た被験者は驚き,なぜだろうと目を輝かせます。ステンレス製の高価な実験セットは1つしかありませんが,身近なものでも,同じようなセットを安価で作ることができます。材料は100円ショップのビニールボールとビー玉(大)です。ボールは20〜23g,ビー玉は19〜20gと,ほぼ同じぐらいの重さです。手のひらに乗せると,重量が少し軽いビー玉の方を,明らかに重いと感じます。買い物袋に入れて手のひらにぶら下げたとき,明らかに軽く感じたボールの方が重く感じたり,どちらも同じ重さに感じたりするので,本家と同じようなリアクションが期待できます。 ポイントは,袋への球の入れ方です。袋の真ん中ではなく端の方に球が偏ると感じ方が変わり,期待通りの反応になりません。また,重さ比べの際に早く手を揺すると,小さい球の方を重く感じがちです。ゆっくり少しだけ上下させるようにしてください。 この体験は,物の置き方によって重さが変わるのかどうかを調べる導入にもなります。また,いかに「手てんびん」がいい加減なものか,ひいては,天秤が必要とされた理由を理解することができると思います。

基本情報

分野 分野2 育てたいもの 管理番号 季節 場所 難易度 危険度
生活 刺激と反応 五官 探究心 835 春夏秋冬
春夏秋冬
室内;
室内
普通
少ない
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