羽化直前のチョウの蛹 紙コップ 割り箸
・チョウのストローの口(口吻)の構造を調べる。
・羽化する際のチョウの口吻を観察する。
・口吻が初めは2つに分かれていて,それが1つに合わさりストロー状の口になることがわかる。
チョウの成虫の口は,いわゆるストローの口です。その長さや太さは,吸蜜する花のタイプによって様々です。普段は渦巻状に巻いて格納してあり,吸蜜の際に伸ばすことができる機能的な形状です。内部にはもちろん穴があいていますが,筋肉や神経が通っていて,匂いなども感じることができるようです。しかし,これが口吻の秘密ではありません。 この秘密に初めて気づいたのは,羽化しようとして殻から抜け出せずに死んでしまったアゲハを観察した時です。2本の触覚はまだ立ち上がらず,体に沿って下に伸びています。そしてもう1組,口から黒くて細長いものが同じように下に向かって伸びていたのです。これが,巻き取られる前の口吻だったのです。つまり,口吻は2つの『樋』のような細長い器官(外葉)が1つに合わさって1本のストロー状になるのです。 チョウが羽化する際に,口吻の様子を詳しく観察してみました。モンシロチョウは,ほんのわずかな口吻の巻き伸ばしで,2つの外葉が1つに合わさってしまいました。アゲハでは,2つから1つという変化がはっきり観察できました。もっとも興味深く,長く観察できたのがオオムラサキです。 オオムラサキは樹液を吸うので,口吻は比較的太短いタイプです。そのためか,1つに合わさるのに時間がかかります。最初はまったく別に動いていた2つの外葉の動きが,何度も巻き伸ばしをするうちに同期してきます。根元から合わさり始め,口先が最後になりました。 新たな発見は,最終段階に口内から透明で粘度の低い液体が分泌されること,それが毛細管現象で先端にまで行きわたって全体が濡れた状態になることです。それ以後,口吻が2つに分かれている状態は無くなりました。この液体が接着剤のような役割を果たしていると考えられます。これまでも口吻が濡れた様子は観察していましたが,今回観察した個体は根元の接合が不十分で,プク〜ッと何度も液体の雫が現れては消える現象が観察できました。次の個体からはそれが見られなかったので,偶然の発見です。 口吻の合わさり方として,一方がもう一方にカチッとかみ合わさるカギのようなの形状が図解されています。しかし,以下のサイトでは電子顕微鏡でその存在が否定され,数多くのヘラ状の組織で合わさっていること,そのため剥がれやすく密閉度は低いなど,目からウロコの情報が満載です。思い込みは一見にしかずですね。 http://www.technex.co.jp/tinycafe/discovery42.html
生物 | 動物 | 探究心 | 799 | 春夏
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室内; |
普通
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少ない
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