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釜穴から外を見る  出口は暗い?

釜穴から外を見る  出口は暗い?

 「釜穴」という言葉を聞いた多くの人は穴のあいた釜をイメージするでしょう。ここでは、ちょっとみなさんの想像もつかないような「釜穴」の話をしましょう。

 私の子どもの頃、諏訪湖は年内に結氷しスケートが盛んでした。「釜穴」は諏訪湖が全面結氷したときに現れる円形の穴の呼び名でした。上諏訪側の湖中に温泉が間欠的に吹き出す穴が幾つもあり、そこは冬でも氷が張ることはありませんでした。子どもたちは下駄にスケートの刃をつけた下駄スケートで遊びましたが、滑りが良く、勢い余って「釜穴」に落ちる事が度々ありました。厚い氷の下に滑り込むのですから、それはとんでもない事故になりかねません。当地では子どもたちは「水中から見ると釜穴の出口は暗く見える。開口部は明るい方でなく暗い方だ」と口を酸っぱくして教えられました。そのときは「開口部は暗い方」と覚えていただけに過ぎませんが、大人になった今は、この理由を説明することができます。つまり、開口部の水面は水鏡と言われるように光が反射されますが、氷の部分はガラスと同じで光が水中に透過します。ですから、水中から見ると水面の方が暗く見えるのです。

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