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透明人間への第一歩  善意の目的で使われることは・・・

透明人間への第一歩  善意の目的で使われることは・・・

 透明人間といえば、ウエールズの小説「透明人間」や平家物語に関わる小泉八雲の「耳なし芳一」の怪談、おとぎ話の「テングの隠れみの」あたりを思い浮かべることでしょう。

 これまで透明人間は、実際の科学技術での実現は無理とされてきました。けれども、科学雑誌「サイエンス」(2006・10・19発行)に、英米の学者が透明人間実現への第一歩となる研究を発表しました。これは、電磁波を用い、特殊な金属素材で「もの」を覆うと、電磁波を反射させずに「もの」の裏側に迂回させることができるというものです。具体的には、直径10cmの銅製の円筒をこの素材で覆い、電磁波を当てたところ反射を大幅に抑えることができたというものです。「もの」がそこにあることを認識するためには、「もの」からの光の反射があり、さらに、「もの」を見るためには、その光を網膜で捉えなければなりません。言い換えれば、表面に光が当たらずに完全に裏側に迂回させることができるなら、そこに「もの」は存在しないように見えます。この研究が進めば、軍事目的を見据えた利用が真っ先に考えられ、それ以外でも、善意の目的でなく悪いことに利用されるのがオチでしょう。
 

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