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「麦茶はお茶?」の科学

「麦茶はお茶?」の科学

 お茶は本来、植物の種名チャの葉から作られた緑茶のことです。紅茶やウーロン茶も原料はチャの葉ですから、お茶の仲間です。ところが、麦茶やドクダミ茶などの原料植物がチャの葉でないものまで茶と呼んでいます。麦茶はオオムギの種子を炒って乾燥したもの、ドクダミ茶は、もちろんドクダミの葉や茎を乾燥したものを利用します。チャの葉を一片も使わないのに、当たり前のように茶と呼びます。

 多少の誤解はあるかもしれませんが、科学という言葉も、麦茶、ドクダミ茶と同じように使われています。原材料(関わる領域)の違いに関係なく、〇〇科学、△△科学と表現するわけです。このような用い方は他にもあります。人間力、老人力などと何でも力をつけて呼んだり、例えばパチンコや金銭にまで〇〇学や〇〇教育という文字をつけ、パチンコ学や金銭教育などとしたりします。日常の用語で、レモンティーとかミルクティーと言えば、紅茶に追加するものを名称として使っているだけです。原料がミルクやレモンでないのにレモンティーとかミルクティーの表現はおかしいと問題にする人はいません。理科や科学、あるいはサイエンスは、やはり日常とかけ離れた特殊なものと思われ、文化として生活の中にとけ込むのは容易なことではないようですね。

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