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自然に学ぶ その1

自然に学ぶ その1

 水中葉と気中葉の生育について述べたように、成葉になってしまうと、それまでと異なる環境では上手く育ちません。枯れてしまうこともあります。植物は、ある環境下で形成された気孔の数を減らしたり増やしたり、あるいは、いったん形成された葉の形を変えることはできません。環境が変わると同時に新たに再生させない限り、いくら努力しても無駄なことです。  人間は、植物のように部分的に再生をすることは不可能ですから、順に適応させなくてはなりません。適応にあたっては、あまりに保護するのは考え物です。身につくはずのストレス耐性が、きわめて低いものになるからです。障害を取り去ることをいつまでも続けていれば、完全な保護ができない以上、必ず弊害が出てきます。幸い、人間の脳は可塑性がありますから再生の可能性はあるはずです。過度な保護下で「ひ弱」に育った子どもたちへの対処療法の具体策検討は言うまでもなく、そのような現状を踏まえ、これから生まれ育つ子どものためにどうするかという具体策を考えなければなりません。適度なストレス耐性を身につけるために、自然界の事象に学ぶ必要がありそうです。なんといっても、人間も自然の一部なのですから。

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