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あの手この手のヒッチハイク

あの手この手のヒッチハイク

 秋の野原を、よそ見しながら、ご機嫌で散歩。ふと、足下を見ると、「しまったぁ!ひっつき虫」なんて覚えはありませんか?「ひっつき虫」は、人や動物にくっ付いて運ばれる草の実の俗称です。よく知られている「ひっつき虫」は、オナモミやメナモミ、ヌスビトハギ、ミズヒキ、センダングサなど、それぞれ、細かい部分をよく見ると、とても巧妙なつくりや仕掛けがあることに驚かされます。まるで、あの手この手を使ってヒッチハイクをする旅人のようです。よくできているなぁと感心するのは、未熟な実も、運ばれた後に、ちゃんと熟成することです。いやはや、ほんとに驚きです。  さて、では、「ひっつき虫」の仕掛けを見てみましょう。先がフックになったトゲトゲを持つのはオナモミの仲間。ミズヒキの仲間も精巧なフックを持っています。ヌスビトハギの実は、泥除けマットのようです。表面に、とにかく細かいフック状の毛が密生しています。これらの巧妙なつくりは、商品化されてマジックテープになりました。ちなみに、マジックテープはクラレの商品名。一般的には、面テープとか面ファスナーと呼ぶそうです。「ひっつき虫」の仕掛けはフックだけではありません。センダングサの実は、釣具のヤスのような返しがついています。この返しがあるために、刺さると、なかなか抜けないのですね。他にも、ネバネバと厄介な粘液タイプの「ひっつき虫」もあります。代表的なのはメナモミです。  そうそう!巧妙な仕掛けだからこそ、取るのが大変な「ひっつき虫」。簡単な方法を一つアドバイス。キッチングッズの魚のウロコ取りで軽く擦ってみてください。笑えますよ。ポロポロ…ポロポロ…あっ!お洒落着では試さないでね。 Ane

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