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万葉時代の通い婚  同居婚もあったはず

万葉時代の通い婚  同居婚もあったはず

 万葉集や古今集、枕草子、源氏物語、徒然草などの多くの古典の背景の多くに、貴族や豪族の当時の生活様式を垣間見ることができます。万葉集は広く庶民から上流社会までの作品が掲載され当時の生活を想像することができます。

 万葉集に相聞歌というものがあります。男女の恋の歌を集めたものですが、当時の恋愛は男性が女性の所に通う「通い婚」であったというのが一般的です。これが先入観となり、万葉の時代は「通い婚」と思いこんでいます。けれどもよく考えてみると、恋愛時代はそれでもいいのですが、子育てはどのように行われていたのだろうかと疑問が湧いてきます。参考書の解説には、結婚すると妻方の屋敷に妻屋を造りそこで生活し子育てをしていたと書かれています。一方で、別の研究者は人麻呂の巻二210の長歌に、妻を亡くした夫が嘆きながら子の面倒をみる場面があることから、同居婚も有り得たと反論しています。山上憶良の有名な貧窮問答歌にも、父と母は枕元の方に、妻と子は足元の方になどの記述があります。これはあきらかに親子二組が同居していることを示しています。そうしてみると当時の生活も現在の家族とあまり変わっていなかったように思います。

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