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カブトムシの卵の変化と,幼虫が孵化する様子を観察しよう

  • カブトムシの卵の変化と,幼虫が孵化する様子を観察しよう

材料

カブトムシの卵 カップ 脱脂綿 マット 飼育ケース

内容

・カブトムシの卵の様子を観察する。
・卵の変化と,孵化の様子も観察する。
・卵が形状変化すること,透明感のある幼虫が孵化することが分かる。

詳細

飼育していたカブトムシが,卵を産んでいました。卵は,固く押し固められた,小さな土の塊の中に産みつけられています。「固く押し固められた」といえば,幼虫が蛹室を作るときもそうでした。卵の場合は,2回りほど大きな丸い部屋?の中に産みつけられていました。土の中にあって,空気と湿り気,卵が大きくなったり孵化したりするためのスペースを与えられているのです。感心するとともに,どうやって作って産みつけたのか不思議に思いました。 掘り出してしまったので,水で湿らせた脱脂綿の上に卵を並べ,フタをして保管・観察しました。卵には,3つの形状の違いが見られました。グループ①は,比較的大きくて丸い形(約5mm×4.5mm)。グループ②は,やや小ぶりで丸い形。グループ③は,小さくて少し細長で丸い形(約4.0mm×2.8mm)をしています。G③はG①②と明らかに形状が違うので,無精卵かもしれないと思っていましたが・・・ 観察し始めて2日日,G①から2頭の1齢幼虫が孵化していました。孵化した幼虫は頭でっかちで,子どもたちは口々に「かわいい〜」。孵化直後の色は,頭部も脚も体全体が透き通るような白でした。時間が経つと,見慣れた幼虫のように頭部が茶色っぽくなり,他の部分も少し色づきました。 3日目には,G②から1頭が孵化しました。前日に,茶色い大顎らしきものが,殻(薄皮)を通して見えていた個体です。G②の他の卵も,一回り大きくなったように感じます。 4日目には,G①とG②の卵の大きさは,ほぼ同じになりました。G③の卵の側面に,ボコっと膨らみが見られる個体があります。大きさも,少し大きくなっています。 5日目には,G②の卵に,殻(薄皮)を通して大顎が見えている個体が3つあります。孵化が近いようです。 15日目にもなると,G②はほとんど孵化し終わりました。そしてG③の卵は,G②の卵と同等の大きさに変化しました。 改めてG③の卵と,続くG④,G⑤の卵を並べてみました。 産卵して時間の経っていない,白くて小さな細長丸いG⑤の卵は,無精卵ではないことが明らかになりました。 そして,G④→G③へと形状変化することも分かりました。 水分を吸収するだけで,長径は125%,短径は160%程も大きくなるのですから驚きです。 インゲンマメの種子が発芽する際,給水して2回りほど大きく膨らむのですが,それ以上の大きさの変化です。 さらに,摘むと潰れそうな柔らかいG⑤ですが,丸く大きくなるにつれて,まるでプラボールのように硬く丈夫になります。しかし,孵化前になると,卵の殻が柔らかく薄くなります。それは,中の様子が透けて見えるほどです。これも不思議な変化ですが,そうならないと,幼虫が殻(薄皮)を破って出てくることができないからです。 孵化の様子を確認するまでは,子ガメが卵角で硬い殻を突き破って孵化するように,中の幼虫が,丈夫な大顎で殻を食い破って出てくると思いこんでいたのですが。実際は,背中のあたりで,プリッと薄皮を破って出てきました。 また,チョウの幼虫のように,孵化した幼虫が卵の殻を食べると記されていましたが,そんなことはありませんでした。殻(薄皮)は,脱ぎっぱなしでした。 これまでにも,カブトムシの蛹化(No.876)や羽化(No.877)の観察で,多くの知らなかった事実を目の当たりにすることができました。今回の卵の変化や孵化についても,計画的に辛抱強く観察し続けることで,新たな知見を数多く得ることができました。子どもたちも,このような体験を自由研究でトライして,自分なりの成果を出して欲しいと願っています。

基本情報

分野 分野2 育てたいもの 管理番号 季節 場所 難易度 危険度
生物 生態 探究心 903
夏
室内;
室内
普通
普通
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