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バラすの楽しい! ヒマラヤスギの実を調べよう

  • バラすの楽しい! ヒマラヤスギの実を調べよう

材料

ヒマラヤスギ 実 種子 シダローズ

内容

・ヒマラヤスギの実について調べる。
・樹齢30年以上のヒマラヤスギの木を探す。
・実が熟してばらけ,シダローズ・鱗片・種子になることが分かる。

詳細

12月中旬,同じ町内のお宅の庭に,大きな2本のヒマラヤスギが植えられていることに気付きました。まさに灯台下暗しです。ご兄妹の記念樹で,樹齢は40年以上だそうです。数年前から実を付け始めたということでした。ご好意で,撮影や採集をさせてもらえました。 球果は片方には全くついておらず,もう片方には鈴なりでした。ヒマラヤスギにも「なり年」があるのでしょうか。 高いハシゴまでお借りして,手にとって撮影することができました。実はまばらに付いていますが,たくさんの実がかたまって付いている枝もありました。実の鱗片は下の方から先に開き始め,その開き具合は六分〜八分ぐらいでした。上の方のシダローズの部分は「これが開くのか?」と思うほど,蝋で固めたかの様に固く閉じています。枝に付いたとても短い花柄が,クニッと曲がって実を上向きに立ち上がらせていました。昨年の実の残骸で,種子などを全て落として芯だけ残っているものも見つかりました。 数個の実を枝から切り取らせていただき,シダローズのできる様子や,鱗片や種子がばらけて落ちる様子を調べることにしました。 枝についている実の鱗片が,どんどん開くのではなく,反対に閉じていたことがありました。そこで,鱗片が開いた実を水にしばらく浸してから取り出し,パック袋に入れて冷蔵庫で保存しておきました。数日すると,全ての鱗片が完全に閉じていました。このことから,時期が来て晴天が続くと,鱗片がどんどん開いて種子を散布します。しかし,途中で雨が降って実が濡れると,鱗片が閉じて仕切り直しをすることが分かりました。 実がばらけないようにアルミホイルで包みました。全体を包むのではなく,特に上下をしっかり固め,4割ぐらいは顔を出しているようにして,窓辺で乾燥させました。2週間ほど経つと,上まで鱗片が開きました。しかし,鱗片は軸にしっかりと付いています。3週間ほど経つと,鱗片全体がグラグラになりました。アルミホイルで包んでいなかったら,ばらけてしまっていたでしょう。 そんな実を解体することにしました。まず,上のシダローズの部分がカパッと取れます。たくさんの翼がついた種子や鱗片が見えました。それらをモフモフとばらしていきました。力を加えなくても自然に崩れる感じです。つまり,シダローズが落ちると,鱗片や種子は自動的に落ちるということです。シダローズは,扇の要の様な存在なのでしょうか。中型の実から,種子が100個以上取れました。 種子散布のタイプは,飛ぶ種型です。種子には,翼のような薄片が付いています。そのため,種子本体を中心にして,クルクルと回転しながら,ゆっくり下に落ちていきます。予想ですが,強い風が吹いて枝が揺さぶられることで,シダローズが外れます。そして,ばらけて落ちる種子は,風に乗って遠くまで運ばれていくのでしょう。種子や翼の形状は,マツやカエデとは違っていますが,いずれにしても,自然の妙に感心させられました。

基本情報

分野 分野2 育てたいもの 管理番号 季節 場所 難易度 危険度
生物 植物 自然愛護 893
冬
山;広場;
山広場
難しい
普通
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