原体験コラム一覧
科学実験データ一覧

豆電球と発光ダイオードにつないだ,手回し発電機の手ごたえの違いを探ろう

  • 豆電球と発光ダイオードにつないだ,手回し発電機の手ごたえの違いを探ろう

材料

手回し発電機(12Vタイプ) 豆電球(V数の違うタイプを複数) LED(赤,緑,青)

内容

・手回し発電機の手ごたえの違いを調べる。
・豆電球とLEDをつないだ手回し発電機の手ごたえを比べる。
・省エネであるLEDの方が手ごたえが軽いと,断定できない場合があることが分かる。

詳細

6年生の理科「電気のはたらき」で,このような問題がありました。手回し発電機に豆電球と発光ダイオード(LED)をつなぎ,ハンドルを回した時の手ごたえは,豆電球の方が重いのか,LEDの方が重いのかという問題です。次の問題の答えである「発光ダイオードは豆電球に比べて,少しの電気で明かりをつけることができる」ことを理解していれば,豆電球の方が重いと答えるでしょう。豆電球を光らせるためには,より多くの電流を流さなくてはならないと考えられるからです。 円尾豊さんが開発された比較実験器のコンデンサーに,電池で少し蓄電します。スイッチを入れると,豆電球とLEDが同時に点灯します。豆電球の方はすぐに消えてしまいますが,LEDの方は,青<緑<赤と長く光り続けます。LEDの方が省エネであることを明らかにできる優れた教具です。 実感を伴った理解が大切だということで,予想(豆電球の方が重いが大半)を聞いた後,班ごとに実験させてみました。すると全ての班で,豆電球の方が手ごたえが軽いという結果が出たのです。何をどうすればそんなことになるんだと,私もやってみて驚きました。明らかに豆電球の方が軽く,省エネであるはずのLEDの方が何倍も重いのです。 豆電球を調べてみると,6.3V-0.15Aタイプでした。そこで,2.5V-0.5Aの豆電球に変えて実験させました。すると今度は,手ごたえが同じぐらいで,違いがはっきりしないという結果が出ました。 想定外で自力では解決できなかったので,円尾さんと伊藤さんにアドバイスを求めました。 6.3Vタイプの豆電球を使ったのは,手回し発電機をむやみに速く回す児童がいて,1.5Vや2.5Vではすぐに切られてしまうからです。LEDは赤色でした。 解説では,豆電球やLEDには電圧-電流特性があるということでした。そもそも手回し発電機の手ごたえは,仕事量に関わるものです。仕事=電力W=電流A×電圧V。ですから,電流値が小さいと,仕事量が少ないので手ごたえが軽くなります。電流値が大きいと,仕事量が多いので手ごたえが重くなります。 実測値ではありませんが,イメージの電圧-電流特性曲線を描いてみました。手回し発電機で3V出ていたとして,予想される電流値を,6.3V豆電球が0.2A,赤色LEDが0.4A,2.5V豆電球が0.6Aとしました。それを数式に代入すると,6.3V豆電球の仕事量は0.6W,赤色LEDの仕事量は1.2Wになります。だから,6.3V豆電球の方が手ごたえが軽くなる。そして,2.5V豆電球の仕事量は1.8Wと最も多くなるので,手ごたえがとても重くなることが納得できました。 以上の実験と考察から,手回し発電機の手ごたえを判断基準として,LEDの方が豆電球より点灯させるための電気の量が少ないと体験的に理解させることは難しい,ということが分かりました。

基本情報

分野 分野2 育てたいもの 管理番号 季節 場所 難易度 危険度
物理 電気 探究心 873 春夏秋冬
春夏秋冬
室内;
室内
普通
普通
前のページへ戻る