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月の模様の見え方が,国によって違う理由を調べよう

  • 月の模様の見え方が,国によって違う理由を調べよう

材料

双眼鏡

内容

・月の模様の見え方が,国によって違うか考える。
・北半球と南半球の,月の模様の見え方の違いを調べる。
・日本とオーストラリアでは,模様が反対に見えることが分かる。

詳細

4年生の月の学習で,月の模様の見え方や感じ方が,国や地域によって違うことを紹介しました。その時ふと,それは,月の模様の見える角度,傾きが違うので「カニ」に見えやすかったり「ライオン」に見えやすかったりするのではないかと思いました。 例えば,北半球にある日本と南半球にあるオーストラリアでは,見える模様の上下左右が反対ではないかということです。このことについて,地球儀を見せて国の位置を示しながら,授業担当している子ども達に問うてみました。 すると,3年でも,4年,5年,6年生でも,日本と同じような傾きで見えるだろうと答えた子どもは,各クラスで1〜4人とわずかでした。反対に見えるという子どもと,反対とまではいかないが,日本とは違った傾きで見えると答えた子どもの割合は,それぞれ5割ほどでした。しかし,大人(小・中・高・大の理科教師)に問うてみると,少し考えた後,日本と同じだろうという考えの方が大多数でした。 その理由としては,大人は多くを知りすぎているからではないかと考えています。理科教師の多くは,次のような認識をもっているでしょう。 月の自転と公転が同じなので,月は常に同じ面を地球に向けている。それは,月の重心が地球側に少し偏っているので「起き上がり小法師」のように地球側に同じ面が引っ張られているためである。 また,少し秤動(ひょうどう:首振り運動)しているので,表面の約59%を地球から見ることができる。 さらに,月は地球から約38万kmも彼方にある。その距離に対して地球の直径は約12700km。日本とオーストラリアではわずか8000kmほど。つまり,ほとんど同じ位置から月を見ていることになる。 子ども達の考えの根拠の多くは,地球の反対側に住んでいる人は,宇宙から見ると逆さに立っている。逆立ちすると,ものは逆さに見えるからという,実にシンプルなものでした。小・中・高・大の理科の先生方が同じように見えると言われているんだけど,予想を変えるかと揺さぶりをかけてみました。しかし,予想変更は,3・4年生では0人。絶対の自信をもっています。この自信はどこからくるのでしょうか。5・6年生になると,理科教師の考えに影響されたクラスに4,5人が予想を変更しました。 さて,真実はいかに!? 実際にオーストラリアの人とネットで繋がって情報交換できればいいのですが,その伝手がありません。ネットで調べてみると,以下のような情報がありました。 「南半球の不思議」http://oz7.justhpbs.jp/minami.htm 「月が笑っている?日本とオーストラリアの月は真逆であった!」http://studystayaustralia.com/smilingmooninaustralia/ 日本から見る月は南天にあり,東(左手側)から昇って南の空を通り西(右手側)に沈むように見えます。オーストラリアでは月は北天にあり,東(右手側)から昇って北の空を通り西(左手側)に沈むように見えます。左右が反対ですね。 そして,見える模様の傾きは「天橋立の股覗き」と同じように,上下反対になります。ですから,模様をウサギとすると,日本では耳を上にして昇ってきますが,オーストラリアでは左右反対で,しかも,お尻を上にして昇ってくるように見えます。そのため,日本では「ウサギ」に見える月の模様が,オーストラリアでは「男の人の顔」に見えるそうです。 では,赤道付近ではどのように見えるでしょう。同じく模様をウサギとすると,ウサギの背中を上にして昇ってきて,腹を上にして沈むと考えられます。 他の国では,カニ,女の人の顔,ライオンなど様々です。これは,地域による文化の違いだけでなく,ちょうど月を見上げることが多い時刻に見える月の模様の傾きが,違っているからではないかと考えています。ちなみに,授業担当している子ども達が月の模様を見て思い浮かべるのは,ウサギではありません。一番人気は,毒針を振りかざしたサソリ! 2番人気はカニでした。昔話に慣れ親しんだ私でもウサギに見えないのですから,認識はこれからも変わっていくのかもしれませんね。

基本情報

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春夏秋冬
広場;
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普通
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