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ブランコ人形が大回転する条件を調べよう

  • ブランコ人形が大回転する条件を調べよう

材料

ブランコ人形

内容

・ブランコ人形が,大回転する条件を調べる。
・ブランコ人形が大回転する様子をスロー動画に撮る。
・大回転するか否かは,主に4つの条件によることが分かる。

詳細

No.858の「ピンクパンサー大回転」実験装置は,組み立てに1時間以上かかる上に設置場所を取ります。そのため,常設して子ども達に自由に実験させることができないのが難点だと思っていました。そんなとき巡り合ったのが,上橋智恵さんが開発された,卓上サイズの「大車輪ぶらんこ人形手動式」です。休み時間などに,子ども達が自由に大回転に挑戦できます。無理をお願いしてノウハウを伝授していただき,何とか自作することができました。なお,ブランコ人形は「立ち漕ぎタイプ」です。 何人もの子ども達が大回転に挑戦しました。ところが,大きく漕ぐところまではクリアできても,大回転させることはなかなか難しいのです。これは子どもだけでなく,大人でも同じ結果でした。そこで,大回転させるために必要な条件を,改めて調べることにしました。 大回転が成功した場合と失敗した場合を,スロー動画に撮って比較しました。立った状態で最高点に達した後,しゃがみ始めます。しゃがむと重心が下がる=長い振り子になります。最下点に向かってグイッと立ち上がります。すると,重心が上がる=短い振り子になります。ゆっくり振れる振り子が,速く振れる振り子に変化していく。つまり,加速がついてスピードアプしていくのです。その繰り返しで,大きく漕げるようになります。ここまでは,子ども達でもクリアできました。 大回転させるためのポイントは,4つあるようです。まず,立ったりしゃがんだりするとき,特にしゃがみ始める際に,人形の腕が,体や棒に引っかからないようになっているかという点です。そのため,棒と腕との角度を微妙に調節しました。 次に,人形がスムーズに立ったりしゃがんだりできるためには,ラインが丈夫,かつしなやかであることが必要です。試行錯誤の末,こすれに強くクセがつきにくいPE(ポリエチレン)製のライン8号を使っています。10号の方が丈夫なんですが,何度も実験していると曲がりグセがついて,パイプの中で引っかかるようになりました。8号に替えてからは,成功者が続出しています。 3つ目は,背負わせた錘(32mmのワッシャ)の枚数です。人形は木製なので,立ったりしゃがんだりしても,重心の位置の変化が少ないのです。錘を上目に付けることで,振り子としての長さの変化を大きくすることができました。ただ,錘1枚では大回転しません。少なくても2枚。3枚だと成功率がアップします。スローで見ると,重い方が,比較的高い位置でしゃがみ始めます。そこから立つまでのストロークが長くなるので,加速される時間も比較的長くなるというわけです。 4つ目は,最も高い位置に達した後,下降し始めるまでは立たせたままにすることです。最も高い位置に達したら,すぐにしゃがませた方が,前述のストロークを少しでも多く稼げると思っていました。しかし,そうすると,重心が下がって長い振り子=遅い振り子になってしまいます。つまり,最後の最後で失速するような結果になるのでした。 以上のポイントを踏まえて改良したブランコ人形は,子ども達の手さばきでリズムよくブランコを漕ぎ,見事に大回転を見せてくれるようになりました。ここまでずいぶん手間暇をかけましたが,子ども達に成功体験を味わわせることができるようになって喜んでいます。

基本情報

分野 分野2 育てたいもの 管理番号 季節 場所 難易度 危険度
物理 運動 エネルギー 探究心 868 春夏秋冬
春夏秋冬
室内;
室内
難しい
普通
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