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子育て真っ最中のカワウのコロニーを訪ねて

  • 子育て真っ最中のカワウのコロニーを訪ねて

材料

双眼鏡 デジカメ ビデオカメラ 

内容

・カワウのコロニーで,子育ての様子を観察する。
・カワウを警戒させないように気をつけて,コロニーを覗く。
・1〜3羽のヒナが,親鳥に餌を与えられて育っていることが分かる。

詳細

カワウのコロニー探訪の2回目です。前回から11日たちました。大きく育ったヒナが,あちこちの巣から顔を出しています。1羽の一人っ子は少なく,3羽兄弟が多いようです。 カワウは,夜明けとともにV字編隊を組んで,採餌のために飛び立つと言われています。しかし,今は子育て真っ最中の時期なので,カワウたちは薄暗いうちから三々五々飛び立っては餌を捕り,巣に戻ってきてヒナに餌を与えていました。 カワウのコロニーのそばに,サギのねぐらがありました。といっても,カワウが巣をかけている木の空いた枝に陣取って,ねぐらにしているのでした。一羽のサギが飛び立つと,他のサギは次から次へと巣から飛び立ち,連なって餌場に飛んで行きました。 カワウは,帰巣しても,すぐに餌を与えはしません。腹をすかした1〜3羽のヒナたちが体を伸ばし,小さい嘴で親鳥の嘴の根元をツンツンします。何度も何十回も突きます。時間にして10分以上。そんなにもったいをつけなくてもと思いましたが。そのうちに親鳥の首で,下から上に動きが見えるようになりました。餌を吐き戻しているようです。時々,親鳥が嫌がるように首を振り,嘴を少し開ける仕草を見せるようになります。しばらくして,いきなり親鳥が大きく嘴を開け,ヒナを頭から飲み込むように,カッパ〜と覆いかぶさりました。同時にヒナは親鳥の喉奥まで顔を突っ込み,餌を貪り食います。親が頭を上げると,満足げなヒナの顔が見えました。 一度に一羽のヒナしか餌をもらえません。長時間観察していましたが,続けて餌を与える様子は見られませんでした。それどころか,持ち餌が無くなった親鳥は,また採餌に飛び立つかと思いきや,餌を必死でねだるヒナを無視して,顔を背面の羽に埋めて眠ってしまいました。 コロニーの木々が白いのは,大量の糞がこびりついているからです。観察中にも,幾度となく,白い糞を外に排泄していました。それは親鳥だけではなく,大きくなった幼鳥はもちろんのこと,小さなヒナまで,勢い良く糞を外に排泄していました。こうすることで,巣が糞だらけにならないようにしているのです。 早朝だけではなく,おそらく一日中,親鳥は頻繁に巣を出入りしています。もちろん,ヒナに餌を何度も与えるためでもあるでしょう。それだけではなく,ヒナがかなり大きく育っているのに,長細い枝や長く連なった草を咥えて,巣に運び込んでいます。これは,ヒナの成長に合わせて,巣を拡充するためではないでしょうか。 餌や巣材を調達して真っしぐらに巣に戻る親鳥もいますが,大きく回り込んで帰巣する個体もいます。いずれにしても,気持ちが巣にヒナに,真っ直ぐ向かっているように感じて感動を覚えました。

基本情報

分野 分野2 育てたいもの 管理番号 季節 場所 難易度 危険度
生物 動物 生態 感受性 848
春
川;
川
難しい
少し危険
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