ペットボトル,キャップ,炭酸飲料
・炭酸と非炭酸飲料のペットボトルとキャップに違いがあるか調べる。
・炭酸と非炭酸飲料のペットボトルの口とキャップの形状を比較する。
・溝(ベントスロット)の有無と役割が分かる。
ペットボトルには,円筒型の炭酸系と四角や六角型の非炭酸系があります。炭酸系は10気圧以上の内圧に耐えられるように作られていますが,非炭酸系は高圧には耐えられません。そもそも高圧が発生することもない・・・と考えられていました。ところが,現在では,お茶や果汁入り飲料でも,高圧が発生する恐れがあることが分かっています。 炭酸系は,飲んだ時に爽快感を味わえるように,二酸化炭素が高圧で封入されています。倒したり振ったり温度が上がったりすると,内圧はさらに高まります。そんな状態で開栓すると,バシューと大きな音とともに,液体が噴き出します。この液体の噴き出しは防ぐことはできませんが,キャップが飛んで怪我をしたりすることを防ぐ目的で,キャップやペットボトルの口に,縦溝が4本以上切ってあります。衝撃を与えない普通の開栓時,少しキャップを緩めたときのプシューッという音は,内部の圧が溝を通って外に逃げる時に発生します。この溝は「ベントスロット」と呼ばれています。 圧がかかっていない非炭酸飲料でも,キャップやボトルにベントスロットが切られているものが多いのはなぜでしょう。初めて開栓するまでは,ほぼ問題はありません。しかし,果汁などが入っている飲料を口飲みした後で残してしばらく放置したとします。すると,混入した菌の活動によって二酸化炭素が発生し,内圧が高まってしまうことがあるそうです。果汁などが入っていない水のペットボトルでも,キャップだけにベントスロットが切ってあるものがほとんどです。 ただ,A社の水のキャップにはベントスロットがありません。また,口径がやや大きく,高さがやや低くデザインされています。同社の水と果汁入りの水(500mlタイプ)で比較すると,1本あたり4g強の差がありました。これは,製造時のコストやCO2排出削減だけでなく,輸送に関わるコストやCO2排出削減をも目的としているそうです。私見ですが,消費者が飲み残した際,同じような形状の果汁を含む飲料のボトルにベントスロットなしのキャップをしてしまい,上記の事故が発生することを想定しているためだと思います。形状が微妙に違うので,色や形状は同じでも,再び栓をすることができないからです。 ベントスロットがないと,本当にキャップ飛びの事故が起こるのか実験してみました。あえてキャップにも本体にもベントスロットがないボトルに炭酸飲料を入れてキャップをします。5回ほどシェイクしてすぐに開栓しました。時間をおくと,高圧に耐えられず本体が破裂するからです。少しキャップを緩めただけで,予想通りキャップが激しく吹き飛ばされました。ベントスロットがある方は,液体が噴き出すだけで収まりました。 この実験から,ベントスロットの役割や必要性がよくわかりました。ただ,この実験を追試すると事故が起こる可能性が高いので,動画で確認するに留めておいてください。 関連実験(あわせて、こちらもどうぞ) ドラム缶つぶし
化学 | 物質の状態 | 探究心 | 796 | 春夏秋冬
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室内; |
普通
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危険
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