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不運のオオイヌノフグリ

不運のオオイヌノフグリ

 早春にコバルトブルーの愛らしい花を咲かせるオオイヌノフグリ(花期は2月〜5月、近年は1月〜5月とも) それにしても、この美しい花色の植物の名前がオオイヌノフグリだなんて。オオイヌノフグリに代わって、命名者に文句の一つも言いたいところ。なぜ、この美しいブルーの花色でなく、花後の地味な実に注目したのかと。さらに、その実さえ、それほどイヌのフグリっぽくありません。強いて言うならハート型です。  どうして、オオイヌノフグリは、こんな似つかわしくない名前を頂戴したのでしょう。そもそも、日本にはイヌノフグリという在来種があります。小さくて花も地味なので、あまり目立ちません。植物学者の牧野富太郎博士が名付け親です。こちらの種なら、地味な花でなく花後の実が、より印象的だと言われれば肯けます。確かに、その実はイヌのフグリに似ています。1890年代に、近縁種のオオイヌノフグリが帰化しましたが、イヌノフグリより大きいという意味で、この名に決まったのです。在来種のイヌノフグリが無ければ、可憐な花姿に似つかわしい別の名前になったに違いありません。あぁ、悲運のオオイヌノフグリ。       A ne

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