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家なき子  巣立ちまでを保証する本性はどこへ?

家なき子  巣立ちまでを保証する本性はどこへ?

 巣は動物の住むところ、人の家に当たります。「巣立ち」というのは、それぞれの動物が成長して巣を離れることですが、人間の子どもが成人して親元を離れるときにも「巣立ち」という表現をすることがあります。人間にとっての家は、建て物だけを意味するのではありません。育った家を含む「ふるさと」全体です。

 人間を含め巣立つまでのすべての動物の子どもには、温かく安全な巣(家)が必要です。とりわけ人間には、成人したあとも心の中に確かな記憶として残るような温かい家が欠かせません。何らかの事情で育った家が失われたとしても、温かな家の思い出があれば、その思い出を原動力にして生きていけるからです。
最近の人間の育児は、放棄どころか親が子どもを苛める現象まで見られます。遺伝子に刻まれたはずの「巣立ちまで責任を持って育てる本性」が失われているに違いありません。こうした親に育てられた子どもは、巣立ちまでを保証する精神的な家を持ちません。お話の世界の家なき子はハッピーエンドで終わりますが、これ以上現実の家なき子を増やしてはいけません。

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