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絵に隠された情報

絵に隠された情報

 カナダの科学者チームがレオナルド・ダビンチの名作「モナリザ」を特殊な赤外線や3D技術で分析し、モナリザのドレスにはガーゼのように薄い透明のベールが施されていたと明らかにしました。これを受けて、フランスの美術専門家は、モナリザのモデルの女性が出産直後だったと発表しました。彼女のまとう薄いベールが、作品が描かれた16世紀のイタリアでは妊娠中か出産直後の女性の典型的な装いだったからです。
 絵画は完成した作品を鑑賞するものです。ところが、最近のようにX線撮影、3D映像解析法、可視域内励起光による蛍光観察法を用いた顔料分析などの近代科学を駆使して観察すると、作品の表面には表れない隠された部分が見えてきます。源氏物語絵巻の解析では、源氏物語の下絵に何が描かれ、どのように修正されたか明らかにされました。今回のパリ発の「モナリザは出産直後」では、彼女がまとうドレスの質感だけでなく、肩まで垂らしているように見える髪型は、実は髪が頭の後ろで束ねられているなどということも判明しました。おそらく画家達は、このような時代が来るとは夢にも思っていなかったに違いありません。

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