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新しい親子関係  父親不在の親子関係

新しい親子関係  父親不在の親子関係

 2006年9月4日、新しい親子関係についての判決が最高裁で下されました。病死した夫の凍結精子を用いて出産した子どもを、その男性の子どもと認めるかどうかを問う裁判でしたが、結果は、たとえ遺伝的に証明できる親子であっても、現行の法律では親子関係は認められないとの判断です。

 精子の凍結保存の利用は家畜では当たり前です。凍結した精子は長期保存ができ、輸送も簡単なため有用な方法と考えられています。人間については、さまざまな問題を含むことから、日本産婦人科学会や日本生殖医学会などは認めていません。凍結精子の保存を巡っても、提供者の死後は廃棄するようにと自主規制を呼びかけている段階です。
今回のような親子関係は以前は想像すらできないものでした。最高裁の判決は、親子関係を認めないものでしたが、早急な法整備の必要性に言及もしています。けれども、親子関係が法的に認められても、事実上、生まれた時点で父親はいないわけです。父親不在の親子関係であることは否定できません。この問題は、今、考えなければならない親子の在り方と無関係ではないように思われるニュースです。

*ニュースの概容
西日本在住の40才代の女性が、白血病で死亡した夫の死後、凍結保存していた精子による体外受精で出産した男児(5才)を、亡夫の子として認知するよう国側に求めた訴訟の上告審判決が4日、最高裁第2小法廷であった。裁判所の見解は「死後懐胎で生まれた子と、死亡した父との間の法律上の親子関係の形成は認められない」というもので、女性側が逆転勝訴した2審・高松高裁判決を破棄し、男児の認知請求を棄却した。

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