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火をつける子ども 動物の世界に親殺しはない

火をつける子ども 動物の世界に親殺しはない

 「親が死んでもいいと思った」と、自宅に火を放つような事件がありました。残念ながら、火をつける子どもは現代の歪みの表れの一つかもしれません。

 動物の世界では親殺しは存在しません。明らかに体格や体力に差があり、物理的に有り得ないのです。けれども、子ども同志や親による子殺しはあります。例えばイヌワシは、二個の卵を産みますが巣立つのは一羽のみです。先にふ化したヒナが後からふ化したヒナを突付いて衰弱死させるからです。ライオンにも子殺しが存在します。群れを乗っ取ったオスライオンが子ライオンを殺します。授乳中の子ライオンに限られていますから、おそらくメスの発情を促し、自身の遺伝子の放散のためでしょう。メスのライオンが自分の子を殺す行動も見られますが、自分の子どもを犠牲にしても、より多くの優れた自分の遺伝子を残すために子殺しをするというのです。

*イヌワシの子育て
 イヌワシは、一回の繁殖で2つの卵を産みます。最初の産卵後、4、5日で2つ目の卵を産みますが、これはスペアーだと考えられています。先に生まれたヒナがもう大丈夫というところまで育つと、そのヒナは後から生まれたヒナを突っついて衰弱死させます。このとき親ワシは残酷な兄弟闘争を制止しません。原因は不明というものの、イヌワシのヒナは食欲旺盛であり、2羽のヒナを同時に育てることは困難です。もしこの兄弟殺しの習性がなければ、2羽とも生き残る確率は低いはずです。親ワシにとっても兄弟闘争は自分の遺伝子を残すのに都合がよいのでしょう。

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